原子力安全委員会 安全研究成果報告会
日 時 平成14年2月13日(水)午後1時30分〜
場 所
プログラム
・開会挨拶
・安全研究の概要紹介
1)安全研究の推移・現状の紹介
2)原子力施設等研究分野における状況報告
3)環境放射能研究分野における状況報告
4)放射性廃棄物研究分野における状況報告
・意見提示及びフリーディスカッション
・総括
午後 1時31分開会
○事務局 それでは、定刻となりましたので、これより第1回安全研究成果報告会を開催いたします。
開催にあたりまして、まず松浦原子力安全委員会委員長よりごあいさつさせていただきます。
○松浦委員長 原子力安全委員会の委員長を務めさせていただいております松浦でございます。本日はお寒いなか、この第1回安全研究成果報告会においでいただきまして、誠にありがとうございます。開会にあたりまして、一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。
もう皆さん、ご承知のことと存じますが、昨年、中央省庁の改革といいますか、組織替えがかなり大幅に行われました。それに伴いまして、我々原子力安全委員会におきましても事務局の機能が非常に強化されまして、またその事務局が内閣府に移されまして、現在、その活動を進めているわけでございますが、人数におきましても、その能力におきましても、随分と強化されたわけでございます。
また、その新しい安全規制の体制に応ずるようにするために、原子力安全委員会はそれまでのいろいろな専門部会等を改編いたしまして、安全研究をご審議いただく原子力安全研究専門部会におきましても、それまで3つの専門部会があったわけでございますが、一つにまとめまして、総合的かつ効率的にご審議いただくことにしたわけでございます。
さて、我々原子力安全委員会が責任を持っております原子力安全確保に関する活動、あるいは安全規制に関する活動でございますが、これは現在の問題に対しましても、あるいは今後原子力利用に関して考えられる新しい問題に関しましても常に最新、最高の知的レベルをもって対応していくことが要求されるわけでございます。
私たちの活動の中でその点で重要なのは、いろいろな指針類の整備をする、あるいは安全審査にあたりまして判断を間違いなくするためのデータベースであるとか、そういうことが重要なわけでございますが、こういう指針類をつくる、あるいは安全審査の判断に使うデータベース等はいずれも安全研究の成果に基づいてでき上がってくるものでございます。そういう点で安全研究というのは私たちの安全規制活動あるいは安全確保の活動をするうえにおいて非常に重要な役割を果たすと理解しております。
さて、今年度から新しい年次計画がスタートしているわけでございますが、この新しい年次計画を策定いたしましたのは昨年度でございますが、一昨年策定いたしますときに、今後の安全確保においてどういう点が重要かということを考えまして、安全研究の重点項目等をどんなふうに考えるか。あるいはどういうふうに決めるかということを考えました。
同時に、安全研究が年次計画にどういうふうに進行しているかを常にフォローアップする。あるいは、その進み具合について成果を評価する。こういうことをやっていこうと考えまして、現在、その方向でいろいろと進めているわけでございますが、本日はその一つといたしまして、第1回の安全研究成果報告会を開かせていただくことになったわけでございます。
この成果報告会は先ほど申しました安全研究の成果を発表していただいて、それに基づいて安全研究の成果を皆さんに知っていただく。あるいは、それに対して皆さん方のご意見をいただく。また、今日はプログラムの中にありますように成果報告だけではなくて、パネルディスカッションをいたします。そういうディスカッションを通じまして安全委員会、規制当局、あるいは安全研究を実施される各研究機関、その間の相互の理解を深める、あるいは認識を深める。そういうことに役立てば何よりだと考えている次第でございます。この会がお互いの理解を深め、あるいは安全研究に対する重要度をどう考えるか、そういう認識をお互いに交換する。そのためのいい機会になりまして、今日ご来場の方々に有意義な会であったなという、そういう会になることを祈っている次第でございます。
以上、簡単でございますが、開会に当たりましてのごあいさつとさせていただきます。
なお、これからの進行に関しましては、安全研究専門部会の部会長をしていただいております木村先生にお願いいたしますので、木村先生、よろしくお願いいたします。本会を十分意義あるものにしていただきますようにお願いいたします。(拍手)
○事務局 それでは、引き続きまして、本報告会と関係の深い原子力安全研究専門部会の部会長でいらっしゃいます株式会社原子力安全システム研究所技術システム研究所長の木村逸郎殿よりごあいさつをいただきます。
○木村部会長 ただいまご紹介いただきました原子力安全研究専門部会の部会長を拝命をしております木村でございます。本日はご多忙の中、多数この報告会にご出席いただきまして、どうもありがとうございます。ご指名でございますので、最初に一言だけあいさつを述べさせていただいて、あと進行役を務めさせていただこうと思っております。
原子力安全研究の重要性につきましては、ただいま松浦原子力安全委員長からご説明がございましたけれども、その中でもさらにご説明がありましたけれども、本研究の進行について、いわゆる調査・審議を進めていくために、ずっと以前から原子力安全研究専門部会が設置されております。ただ、先ほどのお話にもありましたように、以前は各分野に分かれて部会がございましたが、一昨年の省庁再編で部会の再編成の中でこの関係の部会は一つにまとめて、横断的というか総合的に安全研究の調査・審議を行えるようにということで、体制が強化されたわけでございます。
先ほどのお話にもございましたけれども、原子力安全委員会は以前から試験研究機関等で実施されます安全研究について、5か年ごとに計画を立てて実施されてきております。これを5か年年次計画と呼ばれておりますが、昨年度、平成8年から12年度の年次計画が終了したところで、それに関する研究成果の報告が各機関から出されましたので、私どもの部会といたしましては、その成果につきまして、成果の活用などの観点から調査・審議を行いました。
その結果といたしましては、一部、事故や地震等があって、当初の計画どおり進まなかったというのもごくわずかございましたけれども、全体的には所期の目的どおり成果が得られたものと評価されております。
それが終わりまして、今度は平成13年度から17年度にわたります新しい5か年計画、年次計画がスタートいたしましたので、今年度はその最初の年ですけれども、各研究担当の方からこの年次計画に沿って、実際具体的にどのように研究を進めているかということについてご報告をいただきまして、その目標あるいは進め方の手法、それからその掲げておられます達成目標の妥当性等につきまして、私どもの方で専門的な立場から検討して、必要な助言をさせていただいた次第でございます。
それらの内容につきましては、すでに原子力安全委員会の方にご報告いたしましたし、またこれはCD−ROM化して、各試験研究機関にも、あるいは関係機関にもお配りすることになっております。
本日の報告会の前半は主にこの報告につきましては、各分科会の主査等からその概要をここで報告していただくことになっております。
次に安全研究につきましては、その性格上、原子力の安全確保を取り巻く状況が変わってきたりすることもあって、これを十分反映して実施していくためには、さらに実効性を上げるためにも、先ほど述べてまいりました助言あるいは重点研究の選定などを行っているわけでございますが、さらに今後、この原子力安全研究を積極的に行うべき研究分野を少し翻ってというか、少し冷静に客観的に評価するために、そのためのデータベースというか、そのためにこの安全研究が、安全研究と言うともう少し広いことがございますが、その広い安全の研究の中でどのような位置にあるか。また、安全審査あるいはいろいろな指針づくり、そういうところでどのようなニーズがあるか。こういうことをしっかり明らかにしていく必要があると考えておりまして、そういう安全研究のニーズマップをつくっていこうか。それをもとにして安全研究を今後適宜、適切に進めていくというのがいいのではないかと考えて、それに着手しているところでございます。
今回の報告会もその一環として開催するものでございまして、これから原子力安全委員会、それから行政庁、事業者の方々が必要とする安全研究を踏まえながら、重点研究分野を場合によっては見直したり、さらには原子力開発利用の進展を考慮して、年次計画の見直しが必要な場合にはそれもするというようなことも考える必要があると思っております。
本日も報告会ですから、後半では関係機関の方々にご意見を提示していただきまして、いわゆるパネル討論的にそれぞれの方々から最初、基本的な考えを短い時間でご提示いただき、それからその方々の間でのディスカッション、さらにはご出席の皆様方からもご意見をお受けしてディスカッションを深めてまいりまして、それらのご意見を今後の原子力安全研究専門部会あるいはさらには原子力安全委員会の活動に反映させていただければと考えている次第でございます。
以上、簡単でございますが、これで私のあいさつといたしまして、早速ですが、前半のプログラムに移らせていただきたいと思います。
前半のプログラムでは最初に事務局からの安全研究全般の概要がございまして、それから先ほど申しましたように各分科会の主査、またその代わりの方からそれぞれの分野の研究成果の報告をしていただくということで、それでは最初に事務局から安全研究全般の内容について、ご説明をお願いいたします。
○川原田総務課長 安全委員会事務局総務課長の川原田でございます。もう委員長、部会長からご説明がありましたので、ことさら説明することもないかと思いますが、皆さんの頭の整理だけしていただくということで、資料をざっと説明させていただきます。
先ほどご説明がありましたように原子力安全委員会はどういうふうに安全研究をとらえているかということで、専門部会を設けて推進しているということでありますが、一昨年の9月までは、ここにございますように各部門別に施設、環境放射能、放射性廃棄物というふうに3つの部会で検討しておりましたが、一昨年9月から再編いたしまして、一つの安全研究専門部会として総合的、総括的に検討するということにさせていただきました。
実際、審議事項ですが、いろいろございますが、大きく分けてこの3つ、先ほど部会長等からもございました年次計画を策定する。それから、年次計画の遂行状況をちゃんとフォローアップする。フォローアップしながら次期計画の見直しに反映するということと、それから安全研究の評価に関すること。この3つであります。
今回はこの評価を充実させるということで、その一環として成果発表会をさせていただいたということであります。今までいろいろな方面から言われていたのは、安全研究自体、やること自身はもちろん必要だけれど、それがどういうふうに評価され、どういうふうに成果として行政なり指針なり審査なりに反映されているか、よく見えないということがありましたものですから、特段この3番目のところをこれから重点的に活動していく。こういう意味で今回の成果発表会をさせていただいたということであります。
それから、活動状況ですが、繰り返しになって恐縮ですが5年計画をつくっておりまして、8年から12年の計画の評価をいたしましたし、新しい13年から17年の計画はさらに定められておりまして、これの具体化をいま図っているという最中であります。
すでに専門部会では8年から12年までの成果につきまして、きっちり評価をしましたし、また13年から17年につきましても計画をとりまとめ、その実施状況をフォローアップして、それぞれ昨年の9月でありますか、安全委員会にこの評価の結果を報告したところであります。
最後に当面の課題でありますが、先ほど部会長からニーズマップという話がありました。これはややもすれば原子力安全委員会が取り上げます安全研究自体が少し狭いのではないかということもございまして、安全研究と言われているもの、どこでどういう研究が行われているか、全体を把握しなければいけないということがありました。今まで国が行っておりました安全研究に加えまして、事業者なり何なりが行っております安全研究を広くとらえて、全体のマップづくりをやって、そのマップづくりをすることによって不足しているところとか、もう少し重点的にやらなければいけないところが浮かび上がってくることを期待いたしまして、ニーズマップづくりを今進めているということであります。
ここにありますように、こういうことを目的といたしまして、ニーズマップをつくっているということであります。
時間がありませんので、予算の推移とか、課題数の推移とかありますが、これは飛ばしまして、ニーズマップづくりを進めとともに、安全研究を実施しております関係機関の連絡調整の場も設けまして、今後重点的、効率的な安全研究をやって進めるようにしていきたいというのが安全委員会全体の活動の総括であります。
以上でございます。
○木村部会長 どうもありがとうございました。この全体についてもご質問があるかもわかりませんが、それは後にさせていただいて、先に進めさせていただきたいと思います。
まず、原子力施設等安全研究分科会の岡主査から、原子力施設に関する安全研究の状況等についてご説明いただきたいと思います。
○岡主査 今、ご紹介いただきました原子力施設等安全研究分科会の主査を務めております東京大学の岡と申します。先ほどご紹介がありましたが、平成8年から平成12年までの安全研究の5か年の研究成果をとりまとめて評価をし、それから、平成13年度から新たな5か年の研究計画について、研究機関から出された研究計画調査票をもとに研究課題ごとにどう進めていくかということを議論させていただきまして、方向性等について審議をさせていただきました。それらについてご報告申し上げたいと思います。
これは先ほど委員長からご説明がありましたように、省庁再編で安全研究でございますが、旧原子力施設安全研究専門部会というところで審議しておりましたが、そこで審議しておりました3つの施設、ここには水炉、高速炉、核燃料施設と書いてありますが、それから放射性物質輸送、それから共通分野として耐震と、PSAというのは確率論的安全評価の略でありますが、この3つの分野をそのままこの新しい安全研究の分科会で引き継いでやっております。
これは原子炉施設に関する分野でございます。水炉というのは水冷却炉ということで、軽水炉を主とした分野でございます。課題といたしましては12課題を平成8年度から12年度について実施をしておりまして、その項目は大きく分けますと燃料の高度化、これは主に高燃焼度化と言われている、燃料からできるだけたくさんエネルギーを取ろうということでございますが、そういうものに関する安全研究。
それから、高経年化と言っておりますのは、原子力発電所は定期検査で毎年検査していますが、建設してから長くたっているものについて、取り換え等も含めまして高経年化に関して問題がないかということを研究する分野でございます。
シビアアクシデントというのは原子炉が万一の事故のときに、さらに燃料が溶けることを仮想的に想定していろいろ対策を考えていこうということで、その現象の研究その他をやっております。
それから、事故故障の分析評価ですが、これはいろいろな経験に学ぶというところがございますので、過去のいろいろな事故・故障の分析と評価をやっております。
高速炉の方は25課題と書いてございますが、ナトリウム冷却炉高速炉に関するテーマでございまして、そこに書いたような5つの分野に分けることができます。安全設計、評価、事後防止・緩和、それから事故の評価、それからシビアアクシデント、それから運転/施設管理というふうに分けた25課題について評価してございます。
これは核燃料施設・輸送に関するテーマでございます。向かって左側の方が核燃料施設、これは36課題、安全研究を推進してございますが、臨界安全、ご承知のようにJCOの事故がございましたが、溶液の燃料の臨界に関する安全性の研究、それから遮蔽に関する研究、核燃料はα線、β線が強うございますので閉じ込めに関する研究。それから、運転管理・保守に関するもの。廃棄物管理に関するものということをやってございます。
それから、放射性物質の輸送でございますが、これは新燃料あるいは使用済燃料等の輸送でございますが、これはその輸送容器の遮蔽に係わるようなもの。それから臨界安全に係わるようなもの。こういうテーマが行われております。
原子力施設の耐震でございますが、これは19課題ということで、基準地震動策定と書いてありますが、原子力施設の地盤の耐震設計をする基準となる地震動でございますが、これに関する研究でございます。
地盤の安定性に関する研究もございます。それから、土木・構造物健全性というのは耐震時の建築あるいは構造物の健全性に関する研究でございます。それから、機器・配管健全性の研究でございます。
確率論的安全評価の方は19課題ということで、分類は確率論的安全評価の手法に関するところ。それから、ヒューマンファクターと書いてありますのは、運転員、保守の方あるいは人間に係わる部分のいろいろな研究でございます。それから、緊急時の対応に関する課題もこの中に含まれております。
たくさん課題がございますので、その中で代表的なものを二つ紹介させていただきたいと思います。一つは水冷却炉の安全性に関する研究でございます。書いてございますように、反応度事故条件下における照射済み燃料の破損挙動に関する研究ということでございます。
研究目的は下に書いてございますが、照射が進んだ燃料の健全性の判断基準をつくる上で非常に重要な研究であるということになります。
研究の内容でございますが、高燃焼度のPWR燃料を約50GWd/t という高燃焼度の燃料を、それからBWRの燃料、これは61GWd/t というのを用いまして、日本原子力研究所のNSRRでパルス照射の実験を実施しております。燃料に瞬間的に非常に高いエネルギーが与えられまして、その結果、燃料の健全性を調べることができるということでございます。
研究成果としましては、高燃焼燃料のペレット/被覆管機械的相互作用、PCMIと呼んでおりますが、こういうメカニズムで破損する場合の評価に関するデータが得られております。
これがその結果でございまして、横軸が燃料の燃焼度、縦軸が燃料エンタルピの増分。燃料に加えられたエネルギーに当たるものでございます。白いものが壊れなかったもの、黒いものが壊れたものということで、実験結果が海外のものも含めて整理されておりまして、実線で書かれておりますところがPCMIの破損しきい値と書いてありますが、これが安全評価の基準になっているということでございます。
これをどう反映したかということでございますが、発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象における燃焼の進んだ燃料の取扱いについて、そういう安全委員会の審議事項がございますが、そこで定められております燃料破損、核分裂性のガスの放出割合、機械エネルギーの発生などに関する安全評価に直接的な根拠をこの実験が与えているということでございます。
それで、ここの研究の今後の方向性でございますが、実験は非常に順調に進捗してございますが、解析コードの開発が若干遅れておりますので、それに強調して安全評価に資するよう研究を進めることを期待すると評価してございます。
もう一つトピックスをご紹介申し上げますと、核燃料施設の安全性に関する研究のうち、臨界安全性評価手法の研究でございます。研究の目的は臨界安全性、溶液の燃料が臨界になることでございますが、そういうものに関して計算コードと臨界安全ハンドブックの信頼性の向上を図る。それから、確率論的手法による合理的かつ総合的な安全評価に資するということで研究を行ってございます。
研究の内容でございますが、これも日本原子力研究所のNUCEFという臨界の実験装置がございますが、そこで得られた定常の臨界実験データ、それから未臨界実験データをもとに計算コードを介して、ウラン、プルトニウムの溶液状燃料に関するハンドブック用データを充実したということでございます。
それから、過渡臨界解析といいますのは、臨界が時間依存で変わっていくようなケースでございますが、これはやはりそういう実験装置がございまして、上の装置の姉妹装置でありますが、そこで取得された過渡臨界実験データをもとに計算コードの計算精度を評価して改良してございます。
これはその結果でございますが、臨界安全ハンドブック第2版というのがございます。黒い丸い点が実際の事故でございまして、×は実験データでございます。線が引いてございますが、この臨界事故というのは溶液の体積に対して放出されるエネルギーといいますか、核燃料分裂数が比例することは大体わかってございまして、F2というカーブとF1というカーブがこれらをもとに引かれております。
JCOの臨界事故の実際の規模は体積でいいますと45lということで、横軸の体積のところで考えますと、今使っていますF2のカーブで非常によく予測されていることがわかります。
JCOの事故の場合は沸騰は生じなかったのですが、長時間臨界が継続したということでございますが、水ジャケットの水を抜くことによって未臨界化するということもこのハンドブックから利用されて対策に役立っております。
成果の反映といたしましては、先ほど申し上げました臨界安全ハンドブックを公刊しております。それから、安全審査指針の策定の際にこのハンドブックが参照されております。それから、JCOの燃料加工施設の事故の際に役立ってございます。
今後の方向性でございますが、JCOの事故は残念ながら起こってしまったものですから、むしろその反省としては現場作業者の方にも利用しやすいように、ハンドブックは従来、専門家を対象につくったきらいがございますので、もっと簡潔な内容で、実際現場でも使いやすいものにするということが一つ提言されてございます。それから、さらにデータを充実させて、安全審査のために活用したいということでございます。
安全研究年次計画のまとめをさせていただきますと、兵庫県南部地震とかJCOの事故とかで、一部計画の見直し、実施期間の変更がございましたが、先ほどご紹介しましたような「軽水炉燃料の高度化に関する研究」のような研究成果、安全評価の判断基準として使われるなど、非常に有意義な研究成果が得られております。
それから、確率論的安全評価に関する研究では、軽水炉の確率論的安全評価の手法が確立といいますか研究されて、安全性の理解・向上に資する成果が得られて、リスク評価手法としてこの手法が非常によく整備されてきたということでございます。
それで、先ほども述べられておりましたが、研究成果は安全基準等への積極的な反映を期待して、引き続き努力をするということでございます。
それから、すでに今年度から始まっているわけですけれども、その反映といたしましては、今後の計画でございますが、概ね3年間ごとに中間評価をさせていただきまして、研究成果の達成度及び達成見込みを評価・検討する予定でございます。
それから、成果報告会、今日は、第1回でございますが、研究成果の普及と周知を目的に情報交換をさせていただきたいということでございます。
安全規制の活用ということでございますが、研究成果の調査・分析、事故・故障等の調査・分析、それから安全評価手法等の調査・分析ということで、規制の方へ活用させていただきたいということでございます。
それから、研究分野の中で重点研究分野を定めてございますが、年度ごとに達成度等を評価いたしまして、社会的状況等を総合的に検討いたしまして、必要に応じ見直すということにしてございます。
重点研究分野でございますが、概ね5年から10年後の安全審査指針類の作成に資する等、ニーズに対する成果が期待できるものということで、ここに挙げられております6件が重点研究分野ということになってございます。
それで、研究計画の総合評価といたしましては、各課題について技術的助言を集約してとりまとめたということでございますし、その結果、研究の方向性、進め方はほぼ妥当でありますが、一部予算措置がなされていない研究課題があるものの、概ね予定どおり研究に着手できるという見込みでございます。
それから、規制側の要求に留意して、対応可能なものについては進め方の配慮を行うべきと申し上げております。
簡単でございますが、以上で原子力施設等安全研究分科会の方のご報告とさせていただきます。
○木村部会長 どうもありがとうございました。せっかくのチャンスでございますので、何かご質問がございましたらお願いします。
非常に膨大な研究ですので、成果につきましては、先ほどもちょっとご紹介しましたが、事務局の方でCD−ROMにして、それをまとめるということで、近々できるようでございますので、それをごらんになりたい方は事務局の方に申し込まれたら手に入るそうでございますので、そういうふうにお願いしますが、今の岡主査のご報告に関連しまして、何かご質問はございませんでしょうか。
ございませんようでしたら、またご意見等がありましたら、フリーディスカッションの後にでも承ることにいたしまして、それでは岡先生、どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして環境放射能安全研究分科会、これは環境放射能ですが、放射線影響というか、生物影響、こういうものも含んでおりますが、そういう分科会の報告を佐々木主査と松鶴委員から環境放射能に関する安全研究の状況等についてご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○佐々木主査 佐々木でございます。この環境放射能安全研究というのは従来は部会としてございまして、放医研の佐々木理事長が部会長をやっておられて、そこでまとめられたものでございます。その後、新しく部会が1個になって、いま環境放射能安全研究というのが一つの分科会として進められております。
この環境放射能安全研究というのは、これは原子力開発利用等に伴う放射線あるいは放射能の環境容量とその挙動並び影響、それからそれらの低減化を通して、それを安全規制、安全確保の指針として反映させるというのが一つの研究の目的でございます。
平成8年から12年のすでに終了した研究では、全体としてここに挙げる5項目に関して、合計155件の研究成果の報告がございまして、それぞれいずれも予定した成果が得られたものと考えられております。
環境・線量研究及び被ばく線量低減化研究というのは、これは環境放射能の分布とか挙動、あるいは評価法の高度化の研究でありまして、拡散評価法の開発とその高度化、あるいは放射性物質の動植物における分布と移行、あるいはモニタリング技術の高度化など、多くの優れた研究がなされております。これらは安全審査の基礎資料として原子力防災の高度化にも寄与するものと考えられます。
これらの中でも高度化拡散モデルから出発した評価法の開発、SPEEDIシステムというのは現在では原子力防災の非常に有力な武器となっているのは、皆さんご存じだと思います。
これらの環境線量、環境放射能の研究は99年のJCO臨界事故のときに、その成果がいかんなく発揮され、はからずしもその有用性が確認されております。したがって、国際的に見てもその運用体制がほぼ確立できていると高い評価できるものであります。
生物影響研究は非常に内容は多岐に渡るものでありますが、ここに挙げてありますアポトーシス研究とか、あるいは適応応答の現象など、最近問題になっている低線量影響の生体制御機構に関する非常に貴重なデータを提供しておりまして、今後さらに発展が期待されるところであります。
低線量影響の生体制御の機構、それを実際のマウスを使った実証研究で、これは環境研とか放医研などで非常に大規模な研究が行われておりまして、これらの研究は規模としても非常に大きく、世界にもあまり類例のない研究であります。現在はまだ進行中の分もございますが、その成果は低線量放射線のリスク推定等に大きく貢献するものであります。
3番目の特定核種の内部被ばく研究では、これは除去剤の開発、あるいは酸化プルトニウムの吸入曝露による肺がん発生の線量効果など、原子力防災や安全規制の指針、基準の策定に活用できる重要なデータが得られております。
次の緊急時被ばく医療対策というのは、当時は生物影響の中で取り扱われていたものでございますが、その中で緊急被ばく医療体制の構築に沿って進められた、いわゆる緊急被ばく医療ネットワーク、これは放医研を拠点として整備されたのは99年の8月と伺っていますが、JCOが9月に発生して、その有用性がはからずしも実証されたのであります。
安全評価研究に関しては、いろいろな被ばく集団に対する健康影響調査です。これは現在の安全規制体制の維持等に非常に多く貢献できるものであります。
また事故時の放射線リスクの評価モデルあるいは食料とか飼料などの防疫を念頭においた、いわゆるフォールアウトの健康リスクの評価法というのは原子力災害時等の安全評価に大きな貢献をなすものであろうと考えられます。いずれにしても当初予定された成果が得られたものと考えられます。
次は先ほどと同じように、まず現行の年次計画でございます。これは重点課題を提示して、広く研究課題を求め、それに基づいて年次計画を策定して、それに対応する研究がどれぐらい可能であるか、アンケート調査で行った結果でございます。
ただ、実施したのが平成13年度に非常に間近い時期でございまして、省庁の再編とか各研究機関における組織の改編がございまして、まだ予算的に確定していない部分もあったりして、分野によっては必ずしもすべてが満足させるものではなかったわけですが、大体において当初計画どおり実行できるのではないかと考えられるものでございます。
環境放射能・線量研究及び被ばく低減化に関しては、これはまず環境における線量の評価あるいは挙動でございます。従来からこの研究分野は非常に地道な研究が必要である。観測とか測定とかです。そういうものがどうしても重要になってまいりますが、そうした定常的な研究のなかに、できれば開発的な要素も念頭に置いて進められれば、非常に有効なデータが得られるのではないかと思っております。
また機関によっては重複した内容があることがわかりまして、それらは中で実際の具体的な運用に当たっては連携を密にして行っていただきたいということが、一つの提案でございます。
生物影響研究に関しては、これも全体として多様な提案がございましたが、まず基礎研究では全体としては放射線影響の生体の制御機構を念頭において研究戦略への展開が見られております。
低線量影響の実証的な研究はわが国が最も進んでいる分野でありまして、非常に大きな成果が期待できる分野ではないかと思っております。
それから、遺伝子改変技術の導入は世界的に見ましてもポストゲノム時代の放射線影響の一つの研究戦略と位置づけられておりますので、これは各対応機関において適切な対応が望まれるものであります。
それから、特定核種の内部被ばく研究では、超ウラン元素等の生物影響の実験施設が限定されていまして、放医研でございますが、課題数はどうしてもそういうところに集約しております。しかも、その施設がかなり老朽化しているということはかなり問題でございまして、老朽化によって新しい曝露実験が非常に限界に来ているということもございます。
しかし、今後、MOX燃料の商用ベースの利用とかマイナーアクチニドの研究などを考えますと、この一連の研究は強力に推進していただきたいということでございます。
緊急被ばく医療対策の研究として、今回から独立して掲げられておりますが、これは患者の汚染の除去などの初期対応から、実際の高線量被ばくに対する医療の問題、予防の問題、そういう研究が提示されております。
例えば造血障害の予防、治療に関するもの等が掲げられております。もう一つは消化管障害というのも非常に重要なものでありまして、現在、提案はないのですが、それも念頭において進めていただきたいということが一つの希望でございます。
それから、リスク評価研究というのはいろいろな被ばく集団における疫学研究でございます。このデータは現在の安全指針とか規制に直接反映されるものでございまして、その進展が直接反映されるという点で非常に重要なものであろうと思っています。
リスク評価法の開発でございますが、まず実験データ等の整合性を念頭において、新しい体系の構築に進んでいくべきではないかと思っております。もう一つのいわゆる放射線防護と放射線リスクの低減管理の問題は、どちらかというとかと国家プロジェクトとも言われるようなものでございますので、最終的には合理的で適用しやすい新しい防護体系の開発が期待されているところでございます。以上が現行計画とその遂行の可能性に関してでございます。
それで、すでに終了しております8年から12年度までの研究に関しまして、少しトピックス的に挙げてみたいと思います。
まず低線量の問題は皆さんご存じのとおり、いろいろな基礎研究からいわゆる低線量域における、しかもその規制レベルが対象とするような線量域のリスクは現在、学術的にもまだ確定していない部分が非常に多いわけです。だから、研究線量としては機構研究から始まって実証研究、それをもとにしたリスク評価モデルで、それが最終的には人でどうであるかということで、矛盾がないことが必要であろう。そういうふうに考えられます。
まず実証試験としましては、これは環境科学技術研究所で進めらています。これは平成15年に終了と考えられております。4000匹のマウスを生涯飼育して、低線量率で照射して寿命あるいは発がんがどうなるかということです。
低い線量率のところは自然放射線の約10倍ぐらいのところから、その20倍、それからその20倍、そういう線量が与えられて、それが最終的にどうなるかということです。現在のところは寿命に関しては、最も線量率の高いところで寿命の短縮が見られております。今後、これらの発がんの調査が完了すれば、発がんに対するリスクが明らかになってくるのではないかと考えられます。
もう一つはこれは放医研の低線量生体影響プロジェクトで進められている研究です。いわゆる哺乳動物の放射線感受性は非常にたくさんの遺伝子で制御されています。その中のいわゆるDNA二重鎖の結合に働く遺伝子が壊されている動物で発がん実験をやったのであります。そうすると、この赤いのがそうですが、非常に高感度に、この場合、胸腺リンパ腫ですが発生します。
我々が人の集団とか集団で見る場合には、そういった全部壊された固体よりは、むしろその壊れたものを1個持っているという、これは集団の中にたくさんいるはずです。それがどうかということに対してもこのデータは意味があります。ちょっと緑かかったものですが、これは全然持っていないのとほとんど変わらないということです。それは寿命に関しても発がんに関しても。これらのデータは人集団に対する放射線感受性の遺伝的背景として、非常に貴重なデータになろうかと思っています。
最後に緊急被ばく医療体制について。これは緊急被ばく医療体制の構築という研究で進められてきております。これは放医研を中心として、いわゆる緊急被ばくネットワークが整備されて、それができた直後にJCO臨界事故があって、そのシステムが非常に有効に働いたことは皆さんご存じと思います。
これはいろいろなことを物語っております。そのとき大きな働きをしたのは、例えば国際的な事故時における情報交換。これはリンパ球の減少と線量効果が事故の朝、ロシアから届いたとか、その直前に高線量の被ばく線量評価の染色体異常による技術が放医研から発表されて、できたばかりのところであるとか、そういうふうに対応に非常に有効に働いたという状況もございます。
また、これは緊急被ばく医療だけではなくて、環境放射能のモニタリング技術の高度化が事故の実態の把握に非常に大きく貢献したということがあります。
現在はさらに被ばく全国ネットワークは整備されつつあります。こういう研究の推進は原子力防災体制として、今後非常に重要になってくるのではないかと思っています。
あと環境放射能に関する終了課題について、トピックスとして原研の松鶴先生、この委員会の委員を務めておられますが、松鶴先生にお願いしたいと思っております。
○松鶴委員 松鶴でございます。続きまして、環境線量研究及び被ばく低減化研究について、その研究成果をご報告いたします。
その前に旧年次計画策定に当たっての考え方を振り返ってみたいと思います。二つのことが書かれています。学術的な視点に立った長期的な継続研究を行うということ。それから、環境放射線源の多様化。当時としましては、民間再処理プラントの建設、稼働。それから低レベル放射性廃棄物埋設施設の稼働。核融合試験炉、ITERを考えていたのですが、こういうものがつくられるということを考え、その多様化を考慮した研究を実施すべきだという考え方でございました。
その旧年次計画策定後に発生した状況で重要なものといたしましては、ICRP勧告の法令取り入れということ。それから、JCO臨界事故の発生。それから、研究とはちょっと違いますが、研究を支える研究機関に係る行政改革の具体化ということがございました。
こうした二つの大きな方針に、すなわち学術的な研究、それから環境放射線源の多様化といった大きな方針に基づきまして、年次計画が構成されたわけでございます。これにつきましては佐々木先生からご報告がございましたので省略いたしますが、研究成果を概観してみたいと思います。
今般、原子力安全委員会で研究成果の調査を行いまして、87件の回答がございました。その内容を吟味してみますと、概ねいずれの研究課題も順調に研究が進捗したと判断されたわけでございます。
残念ながら研究資源が配分されず、実施されなかった課題もございましたが、これはごくわずかに限られたものでした。
研究成果を見てまいりますと、環境放射能安全研究の特徴ということで皆さんから指摘されることでございますが、研究成果について特に環境中の放射線の測定を行いまして、長い期間データを蓄積しているという研究成果。
それから、環境中における放射性核種の動態について、比較的基礎的な研究を行ったその成果、こういったものが多うございまして、指針、基準に直接関係する研究が比較的少のうございました。
現在、原子力の動向との関連でこの成果を見てまいりますと、まず青森県の下北での核燃料サイクル施設の建設と、その稼働ということがございまして、そういうものに備えた研究としまして、ここにございますように青森県内のγ線線量率分布特性の把握ということ。これは稼働前にバックグラウンドを定量化しておくということで、非常に重要な研究でございます。
2番目が青森県の下北の特有な環境条件を意識して、森林系・淡水・汽水、それから海水圏における放射性核種の動態研究とモデル化に関する研究でございます。これは原子力委員会のクロスオーバー研究との関連がございまして、大変優れた研究成果が得られておりまして、研究成果の統合化が期待されている分野でございます。
安全行政への直接の貢献という意味では、一番下にございますようにICRP勧告の取り入れ用の線量評価手法を開発したということでございます。この研究は一部、特別会計で事業として実施されたものでございまして、法律上の予算の定義から、特別会計事業は安全研究とは見れないわけでございますけれども、安全に関する研究の分野でこういった特別会計の仕事も非常に重要でございます。
このほか、例えばSPEEDIの成果のように、安全研究の成果が他の分野にも役立つという波及効果的な研究成果、それから安全性の評価解析で用いる計算コードの信頼性の検証に役立つような国際協力研究による研究の成果。それから、防災で利用できるような汚染に関するデータの蓄積が得られた成果。こういったようにいずれの課題もそれぞれ目的にかなった研究成果が得られたわけでございますが、その一端を次に紹介させていただきます。
これは下北地方で大気中の放射性核種の濃度と挙動に関する研究を行った例でございます。これは海洋から陸地へエアロゾルによって運ばれる放射性核種がどういうふうに移行するかを研究するために、海の塩をインディケータとして用いて、陸地でのデポジションの挙動を測った研究でございまして、いろいろな場所で塩化ナトリウムの濃度を測定いたしまして、シーズナルな影響、それから海からの距離の影響などを詳細に調べ、有用なデータが得られております。
次が森林生態系における放射性及び安定元素の存在形と循環に関する研究でございます。森林土壌におきましては葉などが落ちまして土にたまります。したがいまして、土の表面は腐食酸が多い有機物に満ちた土壌でございまして、こういったところでの放射性核種の挙動は腐食酸が感応基を有するところから特殊な挙動が考えられているところでございます。森林系におきまして、安定元素と放射線の双方を測ることによりまして、放射性元素がどういう挙動をとるか。それから、いつごろこの汚染が起こったかというようなことについて、有用な知見が得られる例を示しているものでございます。
グリーンが安定セシウムの濃度の分布です。下は表層の有機物層の上から下に行くセクションをとったところでございます。赤いものがフォールアウト起源のセシウムの濃度、それから青いものがチェルノブイリの起源のセシウムの濃度でございまして、赤い方を見てみますと、安定セシウムと放射性セシウムの間の比がほぼ一定でございまして、平衡に達していることがわかります。
一方、比較的新しいチェルノブイリ起源の放射性セシウムにつきましては、安定セシウムとの比が一定でないということから、まだ平衡状態に達していないということがおわかりいただけると思います。
このように安定元素と放射性核種との濃度比などを調べることによって、より豊富な情報を得られる、そういう研究の例でございます。
それから、法令改正に利用された線量評価コードの開発についての研究例でございます。従来、法令に用いた値を算出したコード、DOSDACというのがございますが、これをICRPの新勧告に適用したコードに改良いたしまして、INDESとIDECを開発したわけでございまして、これを用いて法令告示の数値を計算いたしまして、安全行政にも役立ったということでございまして、これは先ほどお話ししましたように特別会計によって実施した事業でございます。
これは省略させていただきまして、最後のまとめでございます。佐々木先生からもございましたように、旧年次計画の目標は概ね達成されたと判断されたわけでございます。いくつかの分野についてコメントしますと、環境放射線、放射能データの蓄積ということでは、長年のデータが蓄積され、判断の根拠となる数字として有用なものでございますけれども、そのまま置いておくのではなくて、データを利用する研究へと展開されることが望ましいということでございます。
それから、環境中放射性核種の動態研究、モデル化研究でございますが、個々の研究をそのままにしておくとあまり役に立たないわけでございますけれども、この知見を総括いたしまして統合モデルを構築することによって、より有用な計算コードが得られるということで、そういった研究の展開が望まれるということでございます。
それから、安全行政の貢献ということは、とりわけ安全研究の重要な点でございまして、前年次計画でもICRP勧告の法令取り入れに貢献できた手法が開発されたわけでございますが、今後、評価手法のさらなる高度化、例えば高エネルギー中性子に対応した線量評価手法などは、まだ研究・開発要素が多うございますので、大学との連携を図りながら、学術への貢献ということも意識しながら研究・開発を進め、行政へ反映させていきたいと考えております。
それから、研究資源の多様化ということでございます。法人等の行政改革によって、予算の多様化が求められていますので、特別会計予算とか、競争的資金とか、国際協力を活用いたしまして、より充実した安全研究を進めていきたい。こういうことでございます。以上です。
○木村部会長 どうもありがとうございました。環境放射能研究、この前の5か年の計画それから今度の5か年の計画、いずれも原子力安全研究の中で課題数の一番多い分野です。先ほどの事務局からのご説明にもグラフがあって、グラフは時間の都合ではしょられましたが、あのグラフをよく見ていただきますと安全研究の中で半分近くがこの環境放射能研究になって、件数としては非常に多くて、カバーする範囲も広いわけでございます。
今のお二人の報告に対しまして、何かご質問はございませんでしょうか。
ございませんか。個々の研究を詳しくやるチャンスとは言えないにしましても、少しずつ個々の研究の評価もありましたし、全体の進め方などについても、ここで特にご質問がありましたらお願いしますが、ございませんか。
それでは、また後ほどでも安全研究の進め方等については、フリーディスカッションのところでも承るといたしまして、次に進ませていただきたいと思います。
それでは、放射性廃棄物安全研究分科会の石黒主査代理から、放射性廃棄物に関する安全研究の状況等についてご説明いただきたいと思います。
○石黒主査代理 ただいまご紹介いただきました放射性廃棄物安全研究分科会主査代理の石黒でございます。それでは、ただいまから放射性廃棄物安全研究の状況報告ということで、平成8年度から12年度までの5か年計画の状況、成果についてご紹介いたしまして、さらに現行の年次計画について簡単に触れさせていただきたいと思います。
これは8年度から12年度までの放射性廃棄物分野の研究項目でございます。大きく分けますと3つの研究分野からなっておりまして、浅地中処分に係る研究9件。地層処分に係る研究41件。規制除外・規制免除及び再利用に係る研究1件でございます。
この件数の数え方でございますが、一つのテーマに関しまして、共同研究で複数の機関が実施するものにつきましては、その実施機関分だけ数えるということで、そういう数え方をしております。ちなみに、地層処分に係る研究で項目数は27件でございますが、共同研究分も含めまして41件ということでございます。ということでトータルで51件。項目数だけですと37件の研究でございます。
各研究についてもう少し詳しく述べさせていただきたいと思います。まず、浅地中処分に係る研究でございますが、核種の分析あるいは測定方法ということで、雑固体廃棄物等、放射能レベルの非常に低い放射能の分析手法の確立。それから、安全評価の考え方、評価手法に関する研究。これは特にα廃棄物ということで、ウラン廃棄物の評価に関する研究でございます。
それから、処分施設の健全性ということで、これはRI・研究所等廃棄物等に関する発生量の調査、あるいは安全評価に関する研究でございます。それから、核種移行データ、解析コードということで、TRU核種を含む、比較的レベルの低い放射性廃棄物の浅地中処分におけるデータあるいは解析手法の研究でございます。
地層処分に係る研究でございますが、まずは安全評価の考え方ということで、例えば安全基準あるいは時間のフレームの考え方とか、シナリオの考え方等、安全規制の基盤的な考え方に関する研究テーマ。それから、地質環境の評価手法ということで、地層の安定性。あるいは地下水あるいは地球科学的な特性、そういうものの評価手法の研究でございます。
それから、処分システムの安全性ということで、処分システムの中心的なバリア要素でございます人工バリア、天然バリア、それらの性能の研究。それから、それらの性能を最終的に安全評価として、手法として統合化する研究。コードの開発あるいはそれに関連しますデータベースの開発等でございます。
いま申し上げました4つの研究テーマにつきましては、高レベル放射性廃棄物の地層処分が基本的な対象になっております。ただし、一番下にありますTRU廃棄物に関しましても、地層処分ということでは共通的には成果が適用できるということで、一番下のTRU廃棄物の処分に関します研究は、TRU廃棄物に特化した特徴的な研究テーマの実施ということでございます。
規制除外・規制免除及び再利用に係る研究でございますが、これは1件だけでございますが、特にクリアランス等を想定しまして、ごく微量の放射性を含む金属材料が実際に市場で使われたときのリスク評価、リスクというのは放射線的なリスクだけではなくて、社会的なリスクも含めた研究がなされております。
トピックス紹介ということでたくさんございますので、特に件数が多くて、まとまりということを考えまして、高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価に関する研究ということで、内容をご紹介したいと思います。
高レベル放射性廃棄物の安全研究に関する課題というのはたくさんございますが、特に安全評価ということで関連する課題を選びましてここに載せたものでございます。この番号は各課題のテーマ番号でございます。例えば安全評価の考え方、評価のシナリオ、これの設定の研究。人工バリア、天然バリアの性能の研究。総合的な安全評価手法、特に確率論的安全手法の研究、こういうものがなっております。
研究の内容でございますが、先ほども申し上げましたように、基本的な安全評価の考え方、こういう指針・安全評価の考え方に係る基本的な考え方の検討。それから、我が国の自然環境を考慮した安全評価シナリオの検討。設定の方法論等でございます。
それから、人工バリア、天然バリア中の核種の挙動に関する研究、それに係るデータベースの整備でございます。
最後にこれらを併せまして、統合化した安全評価システムの開発、こういう内容でございまして、最終目的はこれらから安全基準、指針類の策定あるいは基本的考え方の検討、安全評価手法の確立、こういうものに最終的に資することを目的とした研究でございます。
これは成果のまとめでございます。先にまとめを申し上げますと、評価シナリオにつきましては、まだサイトというのは日本で決まっておりませんので、我が国の地質環境を広く考えたうえでの評価シナリオの考え方、事例的な地下水シナリオの設定、こういうものができました。
それから、処分システム中の核種移行評価のための評価モデル、それから必要なデータベースの整備が行われました。
それから、個別モデル、データベースを統合した総合的な評価システム、こういうものが開発されていまして、自衛的な安全解析によりまして、地層処分の安全性に関する知見が得られております。
それから、これらは決定論的な評価体系でございますが、併せて確率論的な安全評価コードシステムも開発されておりまして、これを用いまして特にデータの不確実性あるいは概念モデルの不確実性の影響に関する知見が得られております。
それから、その他、線量とかリスク以外の補完的な安全指標の検討も行われております。
ということで、これらを総合いたしまして、地層処分の安全評価の基本的なフレームの構築に資する研究が行われたと評価できるかと思います。
それから、成果の反映先でございますが、平成12年度11月に原子力安全委員会が高レベル放射性廃棄物の処分に関しまして安全規制の基本的な考え方をまとめられておりまして、ここでの研究成果が審議に反映されております。
今後のこれらの研究の方向性でございますが、事業の進展、特に高レベル廃棄物は事業主体が設立されましたので、そういうような事業の進展、それに合わせた具体的な安全基準の指針類の策定、これらの反映を考慮いたしまして、安全手法、評価手法、これはデータベースも含めてございますけれども、それらの高度化を求める、そういうような方向性が示されております。
中身について、もうちょっと具体的なものをご紹介したいと思います。これはわかりにくいかもわかりませんが、評価シナリオの中で一番主体は地下水シナリオ、地下水によって処分場の放射性物質が運ばれるという地下水シナリオをベースとしました評価コードのコード群と、それに対して情報提供するデータベースでございます。こういう体系が開発されたということでございまして、シナリオに従いまして地質環境、それから処分場の周りの各バリア、それから周りの天然の地層、それから生物圏。ですからシナリオ的に、あるいは時系列的に左から右へモノあるいは時間が動くということで、それに対応して環境条件、物理的な条件、科学的な条件、それらを解析するコード。それから、そこでの核種を計算するコード、こういうものの体系ができたということでございます。もちろん既存のコードも使っておりますが、開発されたコードと併せて、それからデータベースと併せて全体的なシステムの挙動を解析するシステムが開発できたという例でございます。
それから、こういうような体系を用いまして解析した例でございますが、これは高レベル廃棄物を対象としまして、4万本相当の処分場で1000年後に容器がすべて破損するという保守的なシナリオをもとに解析した例でございます。縦軸が線量、横軸が処分後の時間になっておりまして、1000年から線量が立ち上がると言う解析でございます。
ここでいろいろな地質環境条件を取り込んで解析ができるということで、地下水の種類、海水系あるいは淡水系のもの。それから長期的な地質環境の変遷、例えば気候変動によりまして氷河期、間氷期、こういうことで海水準が変動するわけですが、そういう中で地下水が混ざりあったようなタイプ、そういうような時間的に従ったパラメータの取り込み。あるいは環境条件がぐっと変わってしまうような系、そういう解析ができる。そういうようなシステムで、これは一つの解析例でございます。
それから、いま示しましたのは決定論的な評価でございますが、併せて確率論的な安全評価手法も開発されております。ほぼ今の系と同じような体系に対応したような確率論的評価システムでございまして、補累積分布を示したもので、補累積確率密度、それから確率。それから、横軸が天然バリアからの元素のフラックス、これはセシウム135の例でございます。左からぐっと立ち上がって、中央値ですと大体10ぐらいのレベルでございますが、これがレファレンスケース、決定論の方の基本ケースの値でございまして、基本ケースで中央値よりも低いということで、保守的なパラメータ設定がなされているということがこういう確率論的な評価システムから知見を得ることができます。
こういう確率論的評価、それから決定論的評価、これらを総合的に合わせて評価するシステムが構築されております。
ということで、これは8年度から12年度の研究の評価でございます。分科会の評価結果でございますが、基本的に放射性廃棄物の処分に関する安全確保の基本的な考え方の策定、それから処分予定地等の選定にあたって必要な技術要件、この策定に資する研究等が実施されまして、総括的には有意義な成果が得られると評価しております。
それから、研究成果は浅地中も含めまして、基準類あるいは基本的な考え方の策定に反映されております。新しい知見も併せて、今後も策定されるこのような基準類への積極的な反映を分科会としては期待しております。
今後は事業化に向けて行うべき課題が非常に多くございますので、限られた資源を有効に活用するという観点から研究の効率的な実施が望まれる。そういうような提言をいたしております。
次に新しい年次計画についてでございます。これは4つの研究分野からなっておりまして、浅地中処分、地層処分、クリアランス、それから他分野との協力ということでございます。上の3つは旧年次計画と体系的にはほぼ同じでございまして、ただ違うフェーズに入ったということで、中身がより具体的あるいはより具体的な規制なり、事業に関連したようなテーマが挙げられているということでございます。
特徴的なのは他分野との協力ということで、リスク比較評価に関する研究を1件挙げております。これは廃棄物の分野でもリスク評価を放射線学的な安全のみならず、周辺に天然あるいは人工的な化学的毒物も共存するということがございますので、総合的にリスク評価をするための情報を整えるというようなテーマでございまして、ほかの分野、例えば環境分野でも同じような研究がやられておりますので、これは廃棄物の分野からの一つのアプローチということで、他の分野との協力が今後期待されるテーマでございます。
それから、重点研究分野についても触れておきますが、原子力安全委員会が12年7月にご提示されました重点課題分野、これにこの放射性廃棄物の安全研究のテーマは大体すべて包含されております。そこで、現時点で安全規制に必須と評価される課題について研究資源を積極的に割り当てるということで、研究進捗をフォローすることが必要という提言をしております。先ほどの委員長のお言葉にもありましたように、最新の知的レベルを常に安全規制に反映するということで、先端的、基礎的研究についても、着実に進展を図るという提言を併せて行っております。
それから、新しい年次計画の総合評価でございますが、40件の研究課題ごとに進捗見込み、それから専門家の技術的助言を集約いたしました。一部に予算の確保の問題上、13年度の着手ができなかったもの、それから実際の研究の進め方につきまして委員からいろいろなサジェスチョンをいただいた研究テーマがございますが、各研究課題とも研究の方向性、それから実施計画は概ね妥当であると評価しております。
したがいまして、放射性廃棄物安全研究分野に関しましては、研究全般につきまして、より積極的、計画的な研究を推進するということで、そのような提言をいたしております。
以上、廃棄物分野の状況報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○木村部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの放射性廃棄物分野の安全研究につきましての報告について、何かご質問はございませんでしょうか。
○質問者1) 電中研の平岡です。安全性研究の門外漢としてご質問を。環境だけではなくて、いまご紹介のあった3つに共通しているのではないかと思いますが、教えていただきたいのですが、どの3つの分野でも確率ということがずいぶん出てきました。原子力施設では多分事故のプロブレリスティックな話。それから環境放射能では低線量の話。それから、ただいまの地層の拡散のような話。
こういうものを定量的にずっと追いかけておられるし、大変な努力をされておられると思いますが、どこかで定量的な追いかけを、弁証法的な言葉になってしまいますが、定性的な話へ論理を組み換えていく。そういうような検討はされているのでしょうか。
というのは、我々のような一般大衆というかそういう者にとっては定量的な10-7、10-8のような議論をされても、ゼロではないではないかという一言で多分決めつけられてしまう。そうではなくて、定量的な検討をやっていったときに、例えば一般の人に説得力のある定性的な話へ論理をきっちり構築していけないのだろうか。そうしないと多分きりがないのではないか。
例えば人間の寿命は有限です。先ほどの地層の話だと100万年ぐらいで地殻変動が起こるような図が出ていましたが、何かある量に比較して、だからどうこうというような論理構築をしていかないと、多分いつまでたってもきりがないのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
これは3つの分野どれにも共通な話だと思うので、またあとのパネルディスカッションでも議論していただいてもけっこうかと思います。以上です。
○木村部会長 どうもありがとうございました。平岡さんは一般大衆とは思いませんが、いまPSAをやるうえでは非常に重要な指摘ではないかと思います。岡先生のところでもPSAの研究をやりましたし、今のところでも出てきましたので、いわゆる定量的な評価をするのがPSAですけれども、それと定性的なこととのつながりをどう理解するかということでのご指摘ではないかと思いますが、いまそちらから言われることはございますか。
○石黒主査代理 今のご指摘でございますが、地層処分の分野、ご指摘のように評価スパンが非常に長うございますので、実際的に定量的な確率を、特に正規確率、こいうものを求めるというのはかなり難しい部分がございます。
今日ご紹介いたしましたのは正規確率というよりも地層処分の評価に包含する、いろいろな不確実性をこういう確率論的な評価手法でハンドリングする。そういう一つの方法論としてご紹介したわけでございます。
地層処分の分野はこういう決定論、確率論、それからさらに定性的な方法という今のお話がございましたが、例えば確認するにしても専門家の判断は非常に重要になってまいります。エキスパートのジャッジメント、そういう非常に多層な評価の方法論を併せて総合的に評価するということが国際的にも言われておりまして、そういうものがこれからの安全計画の中に全部含まれているかどうかというのは、若干そうではない部分があるかもわかりませんが、基本的な方向性としてはそういう方向性が国際的にもあるいは日本の中でもそういう議論がされている。そういうご紹介です。
○質問者1) ちょっと誤解のないように。定性的と言いますと、何かボンヤリしたような。そうではなくて人を説得できる論理構築へ移行できないか。そういうことです。
○木村部会長 最初の岡先生の方からは何かございますか。
○岡主査 答えになっているかどうか、私の個人的な感じですが、おっしゃっていることは非常に重要だと思いますが、まずは専門家の方が安全を論理的に考える手段として確率論的安全評価というのがあって、その数値自身は専門家の間でもいろいろな議論があると思います。ですから、それは決して最終的な目標といいますか値として、定量的、定量的と言い過ぎない方がいいのではないかと私は思っています。むしろ、その結果を参考にしつつ、ある程度定量的に合理的に安全を考えていければということで、その利用をしていくのではないかと思いますが、おっしゃっている一般の方にどういうふうに理解していただくかということは、確率の数値でご理解いただくのかどうかということも含めて、やはり安全をやっている者にとっては非常に重要な課題だと思いますので、今後また検討させていただくということではないかと思います。
○木村部会長 よろしゅうございますか。
ここでの安全研究の課題ではなくて、むしろ行政庁の方に関係が深いかもわかりませんが、例えばアメリカなどの発電炉の保守管理において、いわゆるリスク評価をそこに取り入れた。そのためだと確実に証明されたかどうかわかりませんが、そういう評価の仕方を取り入れたことによって、設備利用率なりが非常に上がったと一般に言われておりまして、そういうのは非常に一般にも受けられるのではないかと私は個人的に思っているのですが、そういう考え方と個々の安全研究とがつながるようなこともあっていいのではないか。このようなこともちょっと思っております。
それでは、時間になりましたので、ここで休憩をとらせていただきます。
○事務局 この後、15時20分からフリーディスカッションの方を行ないたいと思いますので、それまで休憩とさせていただきます。
なお、7階のフロア、本日受け付けをしたフロアですが、コーヒーなどお飲み物のサービスをご用意しておりますので、ご利用ください。
午後 3時08分休憩
午後 3時22分再開
○木村部会長 それでは、時間になりましたので、フリーディスカッションを始めます。
実はフリーディスカッションとは言うものの、少しパネルディスカッションに近いようなやり方で、最初にそれぞれの専門の方から短時間ご意見をいただいて、それから本当のフリーディスカッションになるのではないかと思います。
専門部会の構成員の方、それから規制行政庁の方、研究実施機関の方などに参加いただきまして、いま申し上げましたように最初に短時間でご意見を承って、それぞれの認識を共有したうえで、今後の安全研究を進めるうえでの提携の方策等に資することを目的として行っていきたいと思っております。
ここで検討すべきテーマといたしましては、安全研究の成果を利用する。これをいかに促進していくかという方策。それから、安全研究の年次計画に掲げられた研究課題、すでに先ほどから縷々述べましたけれども、そういう課題以外の安全に関する研究が行われております。これは事業者における研究、あるいは海外の研究、こういうものを踏まえて、どういうふうに安全研究をこれから進めていくかという方向性。
また、3番目には安全研究の成果を活用しつつ、事業を行う側、いわゆるユーザサイドからの本研究への要望事項など、こういうことが考えられます。
また、安全研究の実施のための予算措置につきましては、これも一部、先ほどお話が出たところもございましたけれども、これは部会の場でも議論してきたところでございまして、今回は安全研究自体の方向性、要望について主として議論を行っていきたいと考えております。
それでは、最初に申しましたように、このフリーディスカッションを始める前のパネル的な形で、自己紹介を兼ねましてご意見を伺いたいと思っております。時間の関係上、ご意見はお一人5分程度で、簡潔にお願いしたいと思います。
それでは、実際に安全研究を実施されてまいりましたし、先ほども環境放射能のところでご紹介いただきました。大学としてのお立場からの要望を含めて、京都大学の名誉教授であります佐々木先生からお願いしたいと思います。
○佐々木委員 佐々木でございます。大学の立場ということですけれども、私はもう退官をしておりまして、あまり言うことに真実味はないかもしれませんが、大学を中心とした影響研究、安全研究、これは学術会議等でも非常に時間をかけて議論しておりましたので、こういうことになったのではないかと思います。
だから、コメントでございますが、総体的な面から苦言とか要望とか提案とか、そういうふうなものを含めて3つだけ挙げさせていただきたいと思います。
まず、一つは安全研究における大学の役割というものです。従来の安全研究の実施は主として試験研究機関を中心として行われた、いわゆる安全行政主導型とも言えるような研究が主体ではなかったかと思います。研究の推進も含め、大学の研究は十分にそれには活用されてきたとは言えないのではないかと思っております。
人材の確保とか、若手研究者の育成とか、萌芽的研究、これらはこれからの安全研究を支えていく重要なものではないかと思います。
さらに自由な発想と競争原理に基づいて行われる研究というのは、安全研究を学問として体系化づけるもので非常に重要であって、これに果たす大学の役割は非常に大きいのではないかと思っています。
特に私が申し上げたいのは、安全研究を底辺から支える総合的な研究体制はどうあるべきかということを考えますと、原子力安全委員会はそのことをきちっと議論されて、明確に打ち出していただきたいと思います。
特に例えばですが、一つは全国の研究者の英知を結集して、いま集中的に取り組む必要があるような国家的な重要課題の提案などが考えられるのではないかと思っています。
第二はいま行われている安全研究と安全規制の体系化の問題です。これは最初に松浦委員長もおっしゃいましたが、この研究の上に乗って安全規制あるいは基準の策定が行われている。これをきちっと体系化することが必要ではないか。
安全研究というのは現在、研究者の総力を上げて行われているわけです。その成果の中でしか合理的な安全規制は生まれないだろうと考えるからです。また、そうでなければ国民的合意も得られないのではないかと思うからであります。
それぞれの研究領域における研究成果を単に採点評価するだけではなくて、さらに進んで総合的に評価し、安全規制や基準に反映でき、しかも世界に発信できるような透明性の高い体制を確立する必要があるのではないかと思っております。
例を挙げますならば、提案としては放射線安全科学委員会の設置とか、そういうふうなものが必要ではないかと思っています。
次、3番目は安全研究というのは開発研究に比べると非常に地味な研究でございます。でも、これがなければ推進もできないという一つの問題があります。これに関しては、世界的にはIAEAの基本としてうたわれているのは、安全行政の基本原則として原子力利用の推進と安全規制とは分離して行われなければならないという一つの世界的な原則でございます。これが研究者に徹底されることによって、おそらく研究者は自分の研究に非常に誇りを持つ、そういうことが生まれるのではないかと思います。
これに関しては、これまでも日本学術会議の勧告ですとか対外報告などでも強くうたわれております。また、文部科学省、旧文部省の審議会の建議等でも開発利用研究に比べて影響研究は非常に地味な研究であるために、ややもすればその推進が遅れることが繰り返し指摘されております。
特に影響研究については、その目的自身が利己的な政治や経済や、あるいは産業の理論に道具として用いられるようになってしまえば、社会的あるいは国民的な合意は得られないだろうというのが考えられます。
特に今、研究所や大学の法人化が進んでいる中で、この影響研究をどのように位置づけるかということは重要な課題であり、安全委員会ではその問題も含めて、深く考えていただきたいと思います。特にこの推進と規制の分離の原則は安全行政の原点として研究を推進していただきたいというのが、私のコメントでございます。以上です。
○木村部会長 どうもありがとうございました。非常に大きなご提案がございまして、すぐにでも議論に入りたいところですが、最初にお約束しましたように、一通りご意見を承るということで進めますので、今の佐々木先生のご発言につきましてのご意見は、その間によく考えておいていただいて、次に進ませていただきたいと思います。
では、次には同じく実際に安全研究を実施されている機関としてのお立場からの要望などを日本原子力研究所の安全性試験研究センター長の竹下さんからお願いいたします。
○竹下センター長 原研の竹下でございます。スライドを用いて説明したいと思います。
いわゆる安全規制等につきましては、原子力安全委員会あるいは行政庁、そして研究開発機関等は安全研究、基礎基盤研究等の分野。産業界はこういう施設の設計、建設、運転等々。大学では学術研究あるいは学会基準等へのいろいろなコントリビューション、今すでに行われようとしております。
こういう中で私ども日本原子力研究所の安全性研究をやる部分の研究開発機関としての立場で、この原子力利用の安全性の確保、あるいは安全性向上に資していこうとしている。また、これまでそういう努力をしてきたということでございます。
これまで原研がどういうふうに安全研究を進めてきたかということ、これは1枚の絵で表しております。私どもの目的はいま申しましたように、原子力利用の安全性確保と安全性向上への寄与でございます。
ここで、最初にエクスキューズでございますが、原研の安全性研究は年次計画は昭和51年から始まって、そのときから若干安全委員会の方と使い方が変わっておりますが、安全委員会の方では安全研究と、安全性の性をとっております。しかし、原研のこの分野での研究は一応安全性ということで、もうちょっと広い概念といいますか、そういう観点から取り組んでいるということでございまして、まずは原子力安全委員会が先ほど51年以来ですが、今もう原子炉関係では多分6回目ぐらいになるのだろうと思いますが、ずっと安全研究の年次計画に沿って行ってきた。これの主たるリソースは一般会計予算でございます。
そして、あと規制行政へのニーズへの対応、これは主として私どもが受託研究という形で特別会計予算を使わせていただくということで、それぞれ文部科学省、経済産業省からの行政的な、これはかなり強いニーズと申しますか、そういうものに沿った研究を進めてきた。
また、国内外との研究協力を見てみますと、まず国内的には特に大学との、特に基礎的な観点での分野で協力研究という形で大学と。また、研究機関あるいは産業界とはいわゆる共同研究という、お互い持ち分を生かして共同して研究していこう。こういうような取り組みで国内での研究協力を行ってきました。
また、国際的には国際機関としてのOECD/NEA、あるいはIAEA等で、いろいろなシンポジウムであるとか、ワークショップでありますとか、定常的にはいろいろなワーキンググループ等が組織されておりまして、そういうところに原研のそれぞれの専門家が参画いたしまして、国際的ないろいろなコンセンサスづくり、あるいは研究等の現状の把握等に寄与してきております。
また、諸外国との協力でございますが、アメリカのNRC、あるいはエネルギー省、それからフランスのIPSN、CEA等とはいろいろな情報交換、場合によってはいろいろな協力研究などもやってきておりますが、諸外国とも研究協力を進めながらやってきた。
そして、自治体等への協力、これは行政庁も含みますが、特にちょっとしたトラブル等があったときに、あるいはこの前のJCO事故のときにももちろんそうでございますが、こういうところに必要な専門家を派遣する。
あるいは、これもJCO以降でございますけれど、特に防災関係の研修、これも大々的に原研の国際原子力総合技術センターが中心になりまして、こういう研修活動もやってきております。
こういう安全性確保と安全性向上のための私どもの研究のベースになりますのが、ここに挙げました原研の特徴でございまして、総合性、専門性、中立性、研究施設、基礎基盤研究と書いてあります。
まず総合性、これは原研には非常に広い分野の専門家がたくさんおります。ある課題に対しまして総合的に取り組むことができる、こういう原研の特徴、また専門性、これは国内的に、あるいは世界でもある分野におきましてはトップクラスの専門家集団がおります。
また中立性、これは先ほど佐々木先生の方からも若干お話がございましたけれども、あと3年ほどでサイクル機構さんと原研との統合というのが昨年来持ち上がってまいりまして、その中で特に新しい法人になっても、安全性研究の中立性の確保には十分に留意してくださいよということは言われております。中立性というのも定義しますと非常に難しいところがあろうかと思いますが、要は国民から信頼されるということだろうと思っております。
そして、こういう諸々の研究活動を支え、あるいは道具として必要な研究施設を原研が有しているということ。そして、いわゆる基礎基盤研究、安全性研究は先ほどの佐々木先生の分野とは若干違うかもしれませんが、特にこういう工学分野等の安全研究ではいわゆる開発的な研究、あるいは基礎基盤研究との連携が必要不可欠でございます。そういう意味で、こういう基礎基盤研究も原研の中で一方でやられている。総合的にこういう特徴が生かされて、これまでそれなりの安全性研究を行ってくることができたと考えております。
では、これからどうかということでございます。 (スライド)
今後の安全性研究の方向性でございます。先ほど来、特に年次計画絡みで今後の方向、それぞれの分野についてございましたけれど、私どももまずオールジャパン的に見まして整合性のある研究計画がほしい。いわゆるロードマップといいますか、あるいは先ほどはニーズマップという言葉でいわれました。いま安全委員会の方でも取り組まれていようかと思いますが、こういうしっかりしたものをつくって、これに沿ってオールジャパンでそれぞれの立場、機関が安全性の確保あるいは向上のために努力する、こういうのが非常に大事ではないか。
それから、サイクル機構さんとの統合もありますし、また独立行政法人化というようなこともありまして、特に大学あるいは研究機関、それから民間との間の連携を強化していく。これが非常に重要だろうと考えております。
それから、先ほどもございましたが、基礎基盤研究成果の活用を促進していく。これは最初にも述べましたが、すでにいろいろな技術基準的なものを学会レベルでまとめていこう。今、こういう努力が行われております。あるいは、よりロングタームといいますか、長期的な安全性の向上も忘れずにやっていかなければいけないということでございます。
そして、最後の将来の原子力利用にかかる安全性の確保。新しい統合された法人にとっても、一方で将来のさらなる原子力の利用、発展というものを指向していこうとすると思いますけれども、それに係わります安全性確保。これはそれと言ってすぐ答えが出るものではございません。そして特に、これはあとで議論になろうかと思いますけれども、また先ほどの環境関係のあれと若干違うかなという気はいたしますけれど、いわゆる開発研究と安全性研究との連携と申しますか、例えば革新用原子炉の安全面での安全設計であるとか評価、これはすでにこれまでの軽水炉の方法論がもちろん使えるところもありますし、そうは言っても革新炉のR&D、開発研究の中で同時に安全を考えていかないと、それを分離した形で進めることは適当ではないのではないか。そういうような側面。これはITERにつきましても、またいわゆる核変換に係わりますいろいろな研究施設群、こういうものがいきなり民営化されてというと、すぐということはないかと思いますが、長期的な観点から安全確保に係わるものにつきましてはやはり計画的にやっていく必要があるのではないか。これが今後の安全性研究の方向性ではないかということでございます。
最後に、これは今日の報告会で要望があればお聞きしますということでございますので、ぜひともお願いしたいと申しますか、ご理解、ご支援をお願いしたいというのが、先ほど来述べてきました安全研究を支える研究資源の確保と維持の問題でございます。
一昨年以来でしょうか、ここ数年、非常に予算的にも厳しくなってきたということもございまして、例えば安全性研究で用いております研究炉、例えばJMTRであるとか、あるいはNSRR、あるいはNUCEFだとか、あるいはホット施設、これはホットラボラトリー群でございますね。それから、工学試験施設、これは例えばLSTFとか、ああいう大型の熱水力器の試験装置、こういうような研究施設は非常に貴重なものでございます。これをいかにキープしながらやっていくかということが、非常に重要でございます。
同時に、施設だけだはもちろんだめでございます。専門家集団を最低限維持していかなければならない。特に原子力利用を続けていく限り、かなり基本になる、例えば炉物理であるとか、熱流動であるとか、あるいは燃料材料という安全に直結する分野につきまして、少なくともミニマムの研究家集団を維持していく必要があるのではないか。これも非常に重要なことでございます。
それから、先ほども申しましたが、いわゆる開発部門との連携でございます。安全性研究はかなりニーズ研究であると私たちは口酸っぱく言っておりますし、また言われてもおります。いわゆる工学的なおもしろさがないと、安全性研究の中だけで人間が育っていくのはなかなか難しい。また長期的な課題につきましては、当然、開発部門との連携、もちろんあるところからだんだん分かれていくということがあろうかと思いますが、安全研究への人的な供給、あるいは長期的な安全研究課題、こういうようなものにつきまして特に開発部門との連携、これは外への要望というよりも私たちが考えていかなければいけない課題であろうと考えております。
以上でございます。
○木村部会長 ありがとうございました。それでは、同じく実際に安全研究を実施されている研究実施機関としてのお立場から要望などを。核燃料サイクル開発機構大洗工学センターの近藤要素技術開発部次長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○近藤次長 核燃料サイクル開発機構の近藤でございます。私のもともとの専門は高速増殖炉の安全研究でございますが、サイクル機構における安全研究全般の推進を行っているところでございます。
これからサイクル機構におけます実施機関としての安全研究に係わる私どもの意見を何点か述べさせていただきたいと思います。
まず最初にサイクル機構におきます安全研究の取り組み状況を簡単にご説明いたします。基本的には原子力安全委員会の安全研究の年次計画に合わせて計画的に研究を実施するということでございまして、現在、国の計画には49件のテーマを登録して実施しております。
一方、サイクル機構は常陽、もんじゅといった原子炉、再処理施設といった大型の原子力施設を保有しております。これら原子力施設の安全確保あるいは安全性の向上は設置者であり、施設を持っている事業者として極めて重要な責務ということもございますから、こういった施設の特に施設に固有な部分につきましては、その施設の運転の安全向上の部分につきましては、社内の自主研究として国の研究とは別に34件のテーマを実施しているところでございます。したがいまして、国の49件と合わせて、現在83件の研究課題について安全研究を行っているというところでございます。
安全研究の対象でございますが、その中身はFBRや高レベル廃棄物の処理処分といった、研究開発段階にある原子力分野での研究が中心になっているということがあります。したがいまして、先ほど来議論がございましたように、開発という立場と安全研究という立場が混在しているといいますか、両者が明確に必ずしも区別できないような形で行われているという面がございます。
特に予算、要員につきましては安全研究という形で確保しているというよりは、研究開発予算全体の中で安全性についても行っている、そういう位置づけで行っております。
このように研究の位置づけが若干不明確と思われるような面もありますが、逆に開発の推進と一体的に安全研究を行っているメリットもございます。一つは日々一刻変化する開発側からのニーズをすばやくくみとって、これを柔軟に、あるいは重点的に安全研究に展開することができるということが一つございます。
もう1点は、安全研究を幅広く行うことによって、将来の原子力施設に対する安全確保の考え方ですとか安全論理を先取りするような成果の反映、そういうこともできるというメリットの面もございます。
サイクル機構といたしましては成果の公開、普及という観点につきましては、毎年、大洗、東海をはじめとして、全国で一般公開の形で成果報告会を行っておりますし、昨年の11月には5か年の成果がまとまりましたので、東京で成果報告会を開催したところでございます。
続きまして、若干安全委員会の方の要望が含まれるかもしれませんが、研究成果の利用促進方策について、一言述べさせていただきます。
冒頭の松浦委員長の話からございましたように、安全研究はその成果を安全審査の指針、基準類に反映すべくまとめられることが重要であるということは皆さん、認識されているとおりでございます。ところが、いくつかの面でその安全研究で得られた成果や知見が指針・基準に具体的に反映されていくためのメカニズムは若干強化しておかなければいけないかなということも考えています。
具体的に申しますと、一つは計画の策定の段階において、指針、基準にとって具体的にどんなデータが必要なのか、もう少し明らかにしておいて、その上で研究機関なり研究者に対して具体的なインセンティブを与えられるようなやり方が必要ではないかと思われます。
第二は研究の実施の5か年の期間全体にわたりまして研究のフォローを行っていただいて、基準類にそれを反映するために基準を検討する専門部会、安全研究を推進する専門部会の連携を強化していただいて、基準を考える立場の方から定常的にニーズが出されるような、そういった連携をするための方策についても考えておくことが必要だろうと思います。
最後に、若干今後のことについて触れたいと思います。一つは、原研の竹下さんもおっしゃいましたように、安全研究の研究資源が数年来、非常に厳しい状況に置かれているということがあります。特にサイクル機構の場合は例えば核燃料施設の分野では日常的に施設の運転やその管理を行うという活動のかたわらで研究者が安全研究に時間を割いているという実情もございます。
少なくとも国の方で重点研究課題として定められたもの、サイクル機構の場合は約半数のテーマが重点課題として取り上げられておりますが、こういったものについては私どもは着実に実施したいと思っておりますので、資源の面での配慮もお願いしたいと思います。
2点目は、安全研究を策定している5か年の期間が比較的長いということでございます。過去の例を見ましても、いろいろな情勢の変化によって計画の変更を余儀なくされることが多々ございました。したがいまして、評価を厳しくやっていただくことは当然でございますが、私どもは安全研究をできるだけ柔軟に実施したい。ニーズに速やかに対応できるように柔軟に実施したいと考えておりますので、そういう意味での計画の見直し、重点課題の見直しも適宜タイムリーに行っていただきたいと思います。
最後にもう1点だけ、原研とサイクル機構の統合という問題について、私の意見も含めまして、一言述べさせていただきます。すでに政府の決定として、平成17年度にサイクル機構と原研が統合して、新しい独立行政法人として生まれ変わることが決まっております。二つの機関、それぞれ原子力分野の研究機関としては中核的な存在でございまして、安全研究の分野でも原子力施設の分野では7割以上、廃棄物の分野では6割程度、こういった研究課題を併せて担当することになります。したがいまして、新しくできる法人は安全研究の中での位置づけとしても極めて重要になるということでございます。
原研さんの方では、先ほどの話にもございましたが、比較的中立的な立場ということでこれまで安全研究を行ってきました。一方、サイクル機構の方は原子力開発を推進するという開発する者の立場で、それと併せて安全研究を行ってきたという経緯がございます。ここからは若干私の個人的な意見になるかもわかりませんが、当然ながら原子力の安全規制というものには完全に独立性あるいは透明性が要求されるのはもとよりでございます。問題はそういった規制に反映するようなデータなり知見を提供する安全研究をどういう形でやればいいかということでございまして、これはこれから2、3年の間でぜひ多くの方にいろいろな場で意見を述べていただきたいところでございますが、個人的な印象としては、データを出すあるいは研究を行う作業は専門家がいて、研究施設を持っている機関が資金の効率的な利用という観点からも良いことである。ただ、問題なのは安全基準なり安全規制に反映するという立場で、成果が使われる際には独立性が要求される、そういう見方もできるだろうと個人的には考えているところでございます。
いずれにしても二つの機関が統合いたしますので、私どもとしましては研究者の力がより結集できるということでございますので、1+1以上の成果が上げられるように努力したいと思いますので、原子力安全委員会をはじめとして、関係者の皆さんのご指導、ご支援の方をよろしくお願いいたします。以上でございます。
○木村部会長 どうもありがとうございました。いずれも大きな問題が次々出されておりますが、最初にお約束しましたように、一通り進めさせていただきます。
同じく実際に安全研究を実施されている研究実施機関といたしましてのお立場からのご要望など、放射線医学総合研究所の放射線安全研究センター長をされています高橋さんからお願いいたします。
○高橋センター長 放医研の高橋でございます。結論から申しますと、何も意見はありません。すでに言われてしまいました。大体こういうのは後ろの方の最後の方に来る人間は損をするものでございまして、特に原子力安全委員の先生方がいろいろお考えになってやっておられること、さらに佐々木先生をはじめ現場の先生方が考えられた意見で、最後に私のように若造が出てきて、これこれというびっくりするようなアイデアは実は出ないわけであります。そういう意味ではあれですが、5分間の時間をいただけるとお話を聞いておりますので、5分間で現場の印象をお話しさせていただきたいと思います。
放医研は平成13年度に組織を変えまして、放射線安全研究センターを設立いたしました。設立して、そのなかに低線量生体影響プロジェクトと宇宙放射線プロジェクトの二つのプロジェクトを立て、それ以外に8つの基盤研究グループを結成いたしました。
そうか、放医研はそういうふうにやったんだなという話なんですが、これをお出ししたのはどういう意図があるかと言いますと、放医研のこの動きというのは、僕は安全研究の今後を占う一つの試金石だと考えています。
これはそれをまとめたというか、ポンチ絵にしたものです。従来、やはり放医研におきましては、おそらくこれはほかの安全研究をやっておられるところもそうだと思いますが、多少なりともいろいろな分野の研究が立ち上がって、その上に安全研究がこういうふうに乗っかっている。これは別に意図があって斜めにしているわけではありません。たまたまちょっと傾いているときもあるかなというようなことで乗っておりました。
ところが、私どもが考えた放医研の安全研究センターはすべてを包含して、今はやりのスパイラルダイナミックス、つまりある分野からある分野へこうやって受け渡していくうちに、どんどん安定した基盤をつくっていく。つまり一つひとつの分野が個別に安全研究を支えるのではない。こういう総合的な取り組みの中からのみ安全研究は支えられるんだ。そういう意図を持って放射線安全研究センターを設立しました。
これは放医研の中だけのお話だけではなくて、やはり安全研究というのは生物学的な安全研究、工学的な安全研究、そしてそれを規制する側、そういった安全研究に係わる、あるいは安全を保証すると言ってもいいかもしれません。国民の安全安心を保証する部門が常にこういうふうなスパイラルなダイナミックスをつくって動いていかなければいけない。そういうことを私どもは考えて、放医研はそういうふうに変わろうとしておりますし、またそういう形の研究が今後進むことを期待しております。
もう一つは、この環境放射能安全研究のプログラムに対する私の個人的な意見であります。私は今日ここで意見を述べていいといったときに、実は企画の人に、「それでは5分間、私はぼやいてばかりになるよ、いいの?」と言ったら、言ってきてくださいと言われました。文部省の科学研究費の申請書を書いているときに、この安全研究の報告書を書くのが重なるわけです。研究者にとってはやはり文部省の科学研究費の方を書いて、お金が欲しいなというのが実は現場の偽らざる心情です。そのためには安全研究に対して地道な研究をやっているところに理解と支援をいただきたい。支援と言えば、できれば研究費みたいなもの、あるいは何とか賞みたいなものとか、何かインセンティブをつけていただけないか。
次の点は安全研究はもうすでに国研だけが目的研究で支える時代は終ったと僕は思います。先ほど佐々木先生のお話にもありましたが、やはり科学の基礎にしっかり則った安全研究を進めるためには、どうしても関連の学会との強いタイアップが必要だと思います。
だから、今まで何となく大学は基礎研究、例えば放医研みたいなものは目的研究というようなテリトリーがあったのですが、すでにそれを言っていれば科学は遅れるし、科学が遅れれば、その上に乗っかっている安全研究も当然危ういものになるはずだろうと思います。
最後、先ほど佐々木先生の方からも放射線安全科学委員会みたいなものというお話がありましたが、研究で出たデータ、それから規制に至るところのシステマティックな動きが現場の研究者はよく飲み込めていない。あるいは、うまく使われていないのではないかという危惧があります。
環境放射能の報告書は私たちにとっては非常にいいステアリングの機能でありました。あの報告書を見れば、自分の研究がいま日本の中でどの辺に位置しているのかがよくわかりました。そういう意味ではいい海図ではありました。しかし、これから私が望むことは、単なるチャートを書いていただく、あるいはドライブマップを書いていただくだけではなしに、正直なところガソリンをください。走るためのガソリンもください。もうすでに非常にいいマップをおつくりいただけるので、何かいろいろ知恵を絞っていただいてプロモーションをしていただきたい。そういった中で安全研究が発展し、国民の安全安心の理解が広がると思います。
放医研からでした。
○木村部会長 どうもありがとうございした。佐々木先生のご発言とかなり共通したところがあったように思います。
それでは、次に事業者における研究を踏まえた上での原子力安全研究に対する方向性、考え方、要望等について関西電力原子力事業本部副本部長の新田さん。新田さんはこの部会の専門委員でもありますが、新田さんからお願いします。
○新田委員 ご紹介、ありがとうございます。関西電力の新田でございます。本日はこのような場所で意見を述べさせていただきまして、誠にありがとうございます。
まず電気事業者、原子力発電の置かれている状況、皆さんもご存じのとおりですが、ここに1枚のチャートでまとめてみました。左のエネルギーセキュリティ、左下の地球環境ということからこの原子力発電が非常に機軸電源であるということは、一昨年、原子力長計でも言われたことであります。
もう一つは、原子力発電とともにプルサーマルの推進及びバックエンド技術の整備がいま喫緊の課題としてもう一つ浮かび上がってきている課題でございます。
こういった中で右斜め上にございます原子力関連の不祥事ということで、JCOの臨界事故、あるいはBNFL製MOXの燃料データ不正関連ということで、非常に原子力発電の社会的接点といいますか側面といいますか、こういうことで非常に信頼感が低下しているというところが我々にとりまして、もう一つ大きな社会性という面での課題でございます。
それからさらに、いま最もホットな課題でございますが、電力自由化ということで、一昨年3月から部分自由化がなされておりますが、さらにこれを拡大しようということで、今の制度の検証の議論が始まっておりますが、この中で原子力発電が生き残ろうと思いますと、どうしても他の電源とのコスト競争力の確保ということが、今一番の課題でございます。
経済性、社会性、技術をクリアしていかなければいけない。3つの大きな課題を持ちながらやっているというのが現状でございます。
先ほどの図をまとめますと、この4点になるかと思います。エネルギーセキュリティ、地球環境、原子力の重要性というのが1点目。2点目。電力自由化と企業活動の多様化によりコスト競争力、事業効率化が求められています。2点目でございます。
それから、社会的信頼という意味で、やはり安全研究の充実が不可欠でございます。
それから、原子力施設の安全性並びに燃料サイクルの確立、バックエンドの技術開発の重要性が特にこれから重要になってまいります。
そこで、「電気事業者としての原子力技術開発課題の展開」と示しておりますが、先ほど来の各先生方のお話、安全研究と技術開発ということにつきまして、私なりにこのチャートをまとめながら思っていましたのは、もともと原子力というのは安全確保が大前提ということで、我々、立地、設計、建設、運転、保守ということをやっているということでございまして、各課題の中にすべて安全性は付き物だというのが私の考えでございます。
中でも原子力発電の定着というところでは、長期サイクルの運転ということを早く導入したい。日本は13か月の運転ですが、諸外国はすでに18か月やっております。これを早くやりたい。
それから、PLMと書いてございますが、日本では商業炉ではすでに3基が30年を超えました。これからプラント・ライフ・マネジメントということで、検査技術あるいは補修技術を開発しながら、この高経年化対応をしていかなければならないというのがもう一つの大きな課題でございます。
それから、原子燃料技術の中で高燃焼度燃料の導入ということで、いま48GWd/t の燃料を使っておりますが、これを55GWd/t の燃料を早く導入して、使用済燃料の量を減らしていきたいというのがもう一つの課題でございます。
それから、放射線管理のところに書きましたのは、すみません、これは全部大きな課題ですが、私なりの意識の上で大きな課題だけをかいつまんでご説明したいと思います。
低線量放射線影響の解明と書いてございます。先ほど佐々木先生の最初の成果のところにございましたが、私どもひとつ原子力に安心してもらえるというところでは線量影響という、放射線に対する不安が常にございます。これにつきまして放射線防護の観点から当然、低線量領域まで直線の仮定で防護の基準をやっておりますが、実際にはしきい値があるのではないかというあたりを早く解明して、明解なわかりやすい説明をしたいというのが、この項目でございます。
それから、燃料サイクルの確立に向けての技術開発でございますが、何と言いましてもやはり再処理技術で、いま六ヶ所村で建設中あるいは通水テストが始まっておりますが、2005年の商業運転の開始に向けまして、この六ヶ所再処理施設の運転技術を早く確立して、高稼働率でこの施設を運転したいということでございます。
もう一つ、燃料サイクルの中で大きな課題はリサイクル燃料資源の貯蔵の技術、いわゆる中間貯蔵と申しておりますが、使用済燃料を再処理するまで一時保管しておく技術、これもサイクル技術の確立に向けての大きな課題でございます。
それから、放射性廃棄物の合理的な処理処分の具体化に向けた技術開発の中でございますが、すでにご存じのとおり高レベル放射性廃棄物、昨年法律もできまして、処理の事業者もできました。今は立地の活動に向けての準備に入っておりますが、やはり処分施設そのものの安全基準あるいは施設の設計というところも並行して進めなければならない大きな課題でございます。
それから、処理処分の二つ目が、この原子炉廃止措置技術でございます。商用炉の東海第1号機が昨年12月に解体届を出しまして、これからいよいよ解体工事に入っていくわけですが、これらに伴って発生します廃棄物の処理、処分の基準並びにその処分施設の設計、建設というところがこれからの廃止措置に向けての大きな課題でございます。
これは保安院さんの資料をお借りして、本部課長には無断で使わせていただきましたが、日本の各機関で安全基盤研究をどういうところがどういうところをやっているかを書いた資料です。これは飛ばさせていただきます。
ということで、私ども産業界としまして、国、産業界の協力のあり方ということで、先ほど来、原研さんがたくさんの研究施設、ホットラボや研究炉やああいう施設、あるいはROSA、NSRR、ああいう貴重な施設は今後も大いに活用し、汎用的なデータベースの整備といった安全基盤の維持、整備、高度化はぜひ引き続き国の非常に強い後押しで実施していただきたいと思っております。
それから、2点目は今後限られた人材基盤、財政基盤を効率的に運用していくためには、ぜひ国、研究機関あるいは民間の適切な役割分担の下で行いたいというようなことでございます。いずれにいたしましても、官民の協力を密にし、この研究資源を効率よく運用できるような長期的視野に立った戦略展開を指向することが重要ではないかと思います。
最後に産業界の要望を3点申し上げたいと思います。まず1点目、これまでの原子力の安全研究の成果、技術蓄積がたくさんある。もちろん基準、指針等への反映ということで、大いに活用されているわけですが、さらに今後、この原子力産業にも活発に活用されるような、また活用しやすいような仕組みは何かないだろうかというのが1点目でございます。
2点目でございますが、効率的な研究の推進ということで、海外の機関による知見も含め、また国内でも重複することなく組織を超えて検討し、より効率的、効果的な研究計画を立案、実施していただきたいというのが2点目でございます。
最後に原子力の安全研究の成果を活発に活用し、より効果的、効率的な安全規制を目指していきたいということで、3枚目にいろいろな課題を述べさせていただきましたが、大いに課題解決に向けて研究成果の活用並びに効果的、効率的な規制という形で実現していただきたいなというのが産業界からの要望でございます。ありがとうございました。
○木村部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、安全研究との関連が深い安全規制の立場から、経済産業省の本部原子力発電安全審査課長からお願いします。
○本部課長 ただいまご紹介にあずかりました原子力安全・保安院の安全審査課長の本部でございます。
実はここに出ますには、うちの中でババの引き合いがありまして、だれも来たくなかったのですが、いつも厳しい立場からのご指導を賜っております安全委員会からの厳しいご指導でございますので、私は代表して若干個人的な意見も入りますけれども、若干ご説明させていただきたいと思います。
中身は私どもが何をやろうとしているかということと、安全基盤研究についてということでございます。
実はこの点に関しては、昨年の7月に出しました原子力安全・保安部会報告の中に少し書いてございます。何を最初にお話をしたいかというと、高橋先生、佐々木先生からお話があったことにも関係することで、誤解のないようにもう一度お話ししたいと思います。
原子力安全研究というのは、実はア・原子力安全研究ではなくて、ザ・原子力安全研究でございまして、これは昔、文部省、通産省、科学技術庁が厳しく対立していたころから、この安全研究は一般会計で行われる研究のみを指すのでございまして、これを一般的に安全研究と言っていただくと訳がわからなくなってしまいますので、このときは少しそういうことがわかるように。ですから、大学にどうして安全研究のお金が流れないのかと言っても、これは流れないのでございます。大蔵省はいけないと言っている予算でありまして、そういう意味で広い意味で安全基盤研究と変えてみた。それは先ほど竹下さんは安全性研究という言葉、「性」という言葉を入れておられたと思いますが、原子力安全に関する特会、民間資金を含む研究という意味で使った造語でございまして、その全体について議論をしてみたわけでございます。
たくさん書かなければいけないことはありますが、今後、原子力安全全体に関する基盤を支えていくような研究のために何が必要かということについて、3つ書いてございます。3番目は私ども自身のことなので、それを除きますと、国と事業者と、ここに大学と書いてございます。従来これが入っていなかったのですが大学というのを入れました。
もう一つ重要なのは「等」というものでございまして、この「等」というのは何かというと、学協会とか学会といったものが関係して、そういうところの中で適切な役割分担と連携協力がなされていくことというのが必要ではないかと思っております。
二つ目は、これは先ほど竹下さんのお話の中に出てまいりましたが、ロードマップつくりが必要だと思います。このロードマップというのは、一言でいうとロードマップですが、これはなかなか難しい問題です。ここで申し上げたかったのは産学官の率直な意見交換。国が決めるロードマップはだめだと言っているんです。大抵国が決めたものはうまくいかないというものの象徴であります。(笑)官製何とかというのは大抵よくない。だから、ここで申し上げたかったのは産学官が率直に意見交換をしてロードマップを提唱する。そういうロードマップなんだ。セムアイコンダクターロードマップと言われているものの典型的な成功例でありますが、そういう形でどこかが決めてしまうというのではない。官製ではないものをつくっていくというのが、本当の課題解決のために必要なのでないか。
3つ目はものすごく手前味噌の話で、お金がないので研究は重点化したい、こう言っているわけでございます。軽水炉については言えば、これまで出してきたけれど、我々の資金は特会に限られていますので、軽水炉の分野については重点化したいということで、事故時の燃料挙動でありますとか、高経年化といったようなところにとりあえず重点化していこう。
それから、核燃料サイクル分野が新しく入ってまいりましたので、とにかくお金がありませんので、とにかくピアレビューを生かして研究項目を厳選してきて投資を効率的にやりたい。
それから、実証試験と言われているものが特会の中にあります。これは今までのようお題目でPA用予算とするのではなくて、もっと中身を高度かつ先駆的な研究へと衣替えをしていかないと効率性がないのではないかということをこのときに申し上げております。
予算の中身をここで説明してもしようがないので、いくつかやったこと、私どもがいま予算案として提案しているのは実は283億円で、実は去年より減っております。その中では規制の実施、危機管理体制、特にJCO事故以降、やはり危機管理体制が必要になってまいりましたので、そこの対応。
国際動向へ主体的に対応していくこと。それから人材育成、情報提供機能の強化。このあたりについても予算を使いたいということで、使う対象を広げております。
これは原子力発電分野でございます。発電は減っております。これは高経年化、高燃焼度、耐震信頼性実証の試験などに主たるところを投入しております。
核燃料サイクル分野は増やしております。先ほど申しましたように、この分野はどうしてもこれからの対策として必要な分野でございますので、中間貯蔵対策、MOX燃料の加工施設がおそらく今度新しく申請してこられるでしょうから、そういったところの対応。それから廃棄物対策がどうしても重要になってまいりますので、将来を見越してこういったところに投入していきたいということでございます。
3番目が、実は先ほど何人かの先生方の方からご提案があったことに関連する話ですが、大学などに依存して、これからどういう形で規制に生かしていくか。まさにそこでございまして、新しい試みとして安全基盤に関する、ですから安全に関する提案公募型の研究、お金が欲しいと高橋さんも言っていらっしゃいました。お金は用意します。用意しますので取りに来てくださいという一つの試みでございます。実は額としては大したことはございません。1億5000万ぐらいで、これは今後もうちょっと増やしていく予定でございます。
実は何をここで考えているかというと、これまでの工学領域を超えた分野での研究を公募によってやりたいと思っています。とりあえずここには地震、安全管理と一般的なことが書いてありますが、まず地震というのは私どもは多度津の耐震信頼性実証試験のように工学的プルーブというところに一生懸命にお金を出してきたのですが、やはりそれではだめだ。理学の世界に研究資金を投入していくことが必要だ。例えば、断層そのもの把握。地震学。それから強震度予測手法といった理学の領域にお金を出していきたい。それも安定的に出せることができないのか。そのためのピアレビュー方式みたいなこと。あるいは学会とのご協力はできないのかということを今模索しております。
二つ目は、最近のJCO事故、雪印といったいろいろなことを考えてまいりますと、規制と言ってもマネジメント領域にお金をもっと投入していって、これからの規制を考えていく必要があるのではないかと考えております。例えば3つぐらいの例をいま考えています。一つは、先ほど前半の部の一番最後に電中研の方からご質問がありましたが、我々はリスクをいかに国民にコミュニケートしていくのか。いわゆるリスクコミュニケーションの領域。
二つ目として考えておりますのはリスクと経営。例えば最近出ました本でも畑村先生が『失敗学のすすめ』の中で新しいリスクというものを企業の貸借対照表の中にどうやって入れるか提案されておられますが、最近の三菱自動車の例を見ても雪印の例を見ても、リスク管理を誤ると企業が即死してしまうという状況を目の当たりに見ますと、リスクが経営の中でどのように反映されていくべきか。例えばチーフテクノロジーオフィサーというのがいます。チーフファイナンシャルオフィサーというものが今、企業経営の中に入ってきておりますけれども、そういうことを考えてみますと、将来チーフリスクオフィサーみたいなものが企業の中にいて、だれかが常にリスク管理しておかないと、企業が死んでしまうという状況が将来、原子力についても来るのかもしれない。そういう意味での経営とリスクみたいなところの議論。
3番目に、これから高レベル安全規制みたいなものを考えていきますと、規制法とリスクといったようなことを考えていく。法的な規制のあり方みたいなところの将来像はどういうことか。こういうところに広く大学にお金を投入して、将来に向けた我々への規制の糧をいただくといった仕組みが必要ではないかと思っていまして、こういうところに新しく投入したいと思っています。
3つ目は先ほどのロードマップづくりということですが、このロードマップづくりというのは、やはり具体的にテーマを絞らないとなかなかうまくいかないと考えています。そういう意味で新しい試みとして実は原子力学会にロードマップの予算をお出しして、例えば高燃焼度燃料の将来像、先ほど新田支配人の方からは55GWd/t という、これは申請が出てくる段階に来ている高燃焼度化でございますが、その先というのが例えばMOXも含めてどういう形になるのかというところは、国が決めるのではなくて、産業界も含めた形でいろいろ議論をしていただくということが必要なのではないか。そういう試みをやってみたいと思っています。
最後、そういう中でご要望というと口幅ったいところがありますが、一つはこれまでも出てまいりましたが、私どもも限られた予算を効率的に使うつもりでありますが、一つは安全を支える研究施設のような基盤の整備については、ぜひとも喜多室長がおいででございますが、文部科学省から一般会計でこれを維持していただかないと、運転費用だけではなかなかやっていけない時期がそろそろ来るのではないかといったようなことを私どもとして規制行政に携わる分野としては期待をしております。
二つ目は安全委員会も含めてロードマップづくり。これは私どものロードマップをつくろうというのではないのですが、そういうロードマップづくりにぜひご参加して、ご意見を賜れればと思いますし、産業界からもそういうものに参加してただければ。その主体としては、いま例えば高燃焼度の分野については原子力学会にお願いしたらどうだろうかと思っています。
3つ目はもっとシンプルな話でございます。やはり原子力安全基盤研究の資金ということになりますと、これから産業界も応分の研究負担をしていただきたいというところを私どもとしては考えている次第でございます。
どうもありがとうございました。
○木村部会長 どうもありがとうございました。
それでは最後になりますが、同じく安全研究と関連が深い、すでに今の中でもお話が出ましたが、安全規制の立場から文部科学省の喜多原子力規制室長さんから、よろしくお願いいたします。
○喜多室長 文部科学省の喜多でございます。OHPに従いまして、ご説明をいたしたいと思います。
まず、今日は予算の話はしないでくれということなので、私どもの方は予算の話は避けまして、現在、文部科学省の方でこれからの安全規制をどうするかということで、いまいろいろ検討しているところでございます。その中で安全研究を何とかうまく使えないかという観点で考えてみました。
まず、文部科学省の今の原子力安全行政の現状でございますが、まず一つは規制法による安全規制ということで、大学と原研、サイクル機構が持っている原子炉の規制ということがまず一つございます。全施設で27ございます。解体中ももちろん入ってございますが、27ございます。
それから、核燃料の使用施設、約170ございますが、この使用に当たっても規制をやっている。最近それ以外に、特に核物質防護の関係、去年のアメリカのテロのことがございまして、その強化といったようなことで、国際的にもいまこの強化方策が検討されているということ。それから、輸送ということがまずあります。
次に防災対策です。JCOの事故以降、これは非常に強化されたということで、まさに安全研究の中で防災対策に対する研究は進められてきているということでございます。環境放射能対策。これも一緒でございます。
今度はRIの方の安全規制になりますが、RIの使用事業所ということで約5000ございます。放射線の発生装置の使用業者も含まれているということです。さらにRIの関係で、放射線審議会の事務局ということで、特にICRPの取り入れに関していろいろな技術基準の細筆化を図っているというような議論をしているところでございます。
最近、六ヶ所村の再処理の稼働に向けて保障措置の強化ということが一つございます。最後に安全規制に関する国際協力ということで、特に試験研究炉の技術基準、ガイドライン、こういったものの国際協力を進めているというようなことで現状は行っているところでございます。
こうして見てみますと、残念ながら旧科学技術庁で大分積み残した問題がけっこうございます。実用炉とあまり比較したくはないのですが、若干検討が遅れているなというところがいくつかございまして、それを今どういうふうに進めるかということで考えているところであります。
一つは試験研究炉も大分古くなってきまして、高経年化対策の一環ですが定期安全レビューというものを試験研究炉の中にも入れていこうではないかということ。それから、基準類も原子炉あるいは核燃料関係の基準類といろいろありますが、この辺の見直しがされていなかった。この辺も最近の知見でもう1回見直そうではないかというようなところでございます。
次に品質管理とありますが、私は品質保証の方がいいと思っています。これはこれから大きなテーマになってくるのではないかと思っています。原子力の安全管理業務の品質保証という観点で、これからどういうふうに考えていったらいいのか。これは多分に人との係わり合いといいますか、ヒューマンファクター。安全研究の中にもヒューマンファクターの研究がちらほらあります。この研究分野は、この検討の中に品質管理のあり方が書いてありますが、これからの検討の中に非常に生きてくるのではないかなと期待しているところでございます。
あとはさっきの核物質防護の強化ということ。今、核物質防護条約というのがございますが、いわゆる防護対象施設において外からの脅威を想定しなさいということが今度の条約の中で言われていまして、設計基礎脅威の想定というのがございます。すでにでき上がった施設にどうやって設計基礎脅威を想定するのか、非常に頭の痛いところがございまして、これはまさに行政の中でこれからどうやって取り組んでいくか。ある面では非常に研究的なところもあるなというところでございます。安全研究の中にはこの核物質防護の関係はなかったかと思います。
次に使用の安全規制でございます。いま言われています規制免除、規制除外、クリアランス、これを法律の中にどうやって取り入れていくかということがございます。
さらに最近、いろいろ新聞を賑わしておりますモナザイトの問題とか、あるいは家庭用の温泉機といいますか、それが使用済になって捨てられてしまって、廃棄物工場で検出されて大騒ぎになったといったことがあったり、あるいは床の間に核原料物質といいますか、石みたいなものを置いてあるということ。それはたまたま法律の基準では下回っているのですが、数が多くなるとある程度の線量が発生するということがあって、そういったものの管理をこれからどうしていくかということが一つございます。これに関連しては、昔、規制法ができる前に事業者が持っていた核物質、これを我々はワキダシと言っていますが、ある日突然にこんなものが出てきたというようなことがあって、そういったものの管理をどうするかということで、今その辺が今後の課題というようなことで検討を進めなければならないというところがあります。
あと防災と環境放射能、これも先ほどちょっと申し上げました。現在、SPEEDIという影響予測調査システムがございます。原子力潜水艦の寄港地がございます。横須賀、佐世保、そういったところにもSPEEDIの活用ができないかということを今進めているところでございます。
それから、緊急被ばく医療の体制整備。これはまさに安全研究の中でも取り上げているところでございます。ぜひこの成果を今後の体制の中に生かしていきたいということで、安全研究をどうやって規制の方に取り入れていくかという我々の研究というのがやはり必要なのかな。
その下の防災対策、これは訓練等でございます。この防災対策も対策の対象になるのが、やはり人であるわけです。どうやって人を避難させるか。ということになりますと、先ほどちょっと申し上げましたが、やはりヒューマンファクターと言いますか、人の研究がもう少しされてもいいのかな。ただマニュアルだけどんどんつくっていってしまうのではなくて、人がどういうふうにそこで動くのかという観点。そういった意味で防災対策を考えていく必要がある。
それから、環境放射能調査。さっき申し上げましたモナザイトなどで問題が出るたびに大騒ぎになるわけですが、通常の環境放射能の調査の成果、実態はどうなっているかということをもう少し一般国民にわかりやすく知らせていく必要があるのかな。いろいろ課題を通して安全研究を生かすことはできないか。その生かし方はどういうふうにあるべきか。その辺も今、専門家の先生などの意見を取り入れながら進めようとしているところでございます。
最後のところでございますが、1枚にまとめてございますが、いま申し上げましたようにいろいろな課題がございます。この課題を詰めていく段階で、やはりこれだけの安全研究の成果というのは、やはり相当活用できるのではないかと期待しているところでございます。したがいまして、先ほど言いましたたように我々自身がその成果をどうやって反映させるか。一番下の枠の中に入れてありますが、行政側の研究というのでしょうか。非常にソフト的な研究になってくると思います。そういう専門家を交えての研究ということで、我々も方策を練っていきたいと考えているところでございます。以上でございます。
○木村部会長 どうもありがとうございました。これで最初のご提案あるいは意見を承るのが終わりました。5分ずつと申し上げていたのが少し長くなって、私も感心して聞いていましたので5分でストップをかけることもしませんでしたので、予定より長くなりましたが、これから元の題のフリーディスカッションということになるわけでございますが、最初にお話になったものに対する回答的なものが部分的に出ていたりもしたわけでございます。
実際に研究を進めておられる立場、あるいは大学の立場、あるいは行政庁の立場、事業者の立場、それぞれ出ましたけれども、まとめにくいですが、全体として一つはこれからの安全研究、この安全研究というのは先ほども言われましたけれども、この原子力安全委員会で取り扱っているザ・安全研究、それのことをここでは主に踏まえて申し上げたいと思いますが、それの今後向かうべき方向性がいくつかの切り口から出たと思います。
それから、それとも関係がありますが、2番目としては今の原子力安全・保安院、あるいは文部科学省で行われている研究、特に原子力安全・保安院の方で安全基盤研究、これもザがつくわけですか。
○本部課長 いや、そういう意味ではないんですが。それはどういう名前でもいいんですが。
○木村部会長 その研究。それから、民間で行われている、電中研とかで行われているものとの連携。役割分担。こういうことが出ています。これは私ども最初に申し上げたことですが、改めてそれぞれのところから出ております。
それからまた、随分たくさんの安全研究を進めていて成果も上がっているのですが、その成果の活用につきまして、まだ十分ではないのではないかということもありまして、これから成果を活用するにはどうすればいいかということがあったと思います。実際上、安全規制の基準とか指針にこれをうまく反映していくことと、逆に中でも言われましたが、その担当しておられます安全基準あるいは安全審査までやっておられるところで、どういう安全研究が足りないか。どういうデータが欲しいかということを安全研究の部会でもっとどんどん承って入れていくべきではないか。これは私自身も安全研究の部会長を仰せつかったときからかねがね思っていますが、そういうことを直接ご指摘もいただいております。
また、最初との関係もありますが、もっと生々しいこととしましては、いま機関の再編成がいろいろ行われておりまして、国の研究機関もそうですし、大学の方も独立行政法人化の動きが急のようですが、こういう中で安全研究も一つの重要な、ある意味では危機というような、施設・設備あるいは人材をそこに投入していく上で厳しい状況を迎える恐れがあるということも言われたと思います。
あまりいいまとめでなくて、これについてこうというふうになっておりませんが、最初のいろいろな状況を踏まえて、最後とも関係がありますが、今後向かうべき方向、それぞれの方はおっしゃいましたが、ほかの方が言われたことに対する意見を含めてというか、自分がおっしゃったことではなしに、ほかの方に対する意見、こういう立場から前に座っておられる方からまずご意見はございませんでしょうか。
すでに提案されたことに対する回答で、一番如実なのはガソリン代を出せと言われたのに対して、競争的資金を準備したと言われて、今日は予算を言わないということを言われていますが、予算なしで安全研究をやっていけませんから。そういう話も出るのもやむを得ないと思いますが、そういうことも出ましたが、それ以外のことで何か。今、それぞれの先生方のご発言をお聞きになって、それに対するご意見などをいただけませんでしょうか。
本部さん、お願いします。
○本部課長 だれか口火を切らないとあれでしょうが、今とりまとめていただいた中のガソリンという資金の話と、もう一つ実施されている機関の方々が異口同音におっしゃられたことは成果を活用してほしい。それは規制というものの中にきちんと得られた成果を活用することが研究自身の促進につながり、かつリサーチャーのインセンティブになるんだということを皆さん、おっしゃっておられたと思います。それ自身はまさに私どももさぼってきたことだと思います。
ただ、非常に限られた人材で、すべての研究成果を適格に見て、常にそれを規制に反映できればいいのですが、そのためには2900人いるNRCでもなかなかできないという状況だと思います。そこには何らかの仕組みが必要だと思っておりまして、その一つが先ほどの「など」ではありませんが、例えば学会なり学協会が規格なり基準として整備をしていただいて、それを我々がチョイスをして使うということだと思っておりまして、そういうことの回り方についても保安部会でも考え始めたところであります。
また、その大きな流れの一つが原子力安全委員会、これは私ではないのですが、側の動きとしては指針の体系化ということ。指針の体系化の中には指針には何を書き、その下には何が準備されるべきか。それが学協会的なものの基準で整備されるのかどうかという、そういう体系化の話につながるのだと思います。
そういう仕組みが整いますと、まさに研究をやられた方がそれを成果としてまとめ、最も規制に使いやすい形に整備をまずしていただく。人のふんどしを借りて相撲をとるようなものですが、そこまでやっていただくと、我々も限られた人材でそれを規制に投入しやすくなる。そういうものがセットになって初めて成立するのではないかなというのを感じている次第でございます。
○木村部会長 どうもありがとうございます。何か。
○高橋センター長 私は今のご意見、本当にありがたく思って聞きました。まさにそういうシステムが整備されるということが研究をしている現場にとって、いま一番求めていることです。
喜多課長のOHPの最後のところに、今後の安全研究の方向ということで、ここにレジュメも見せていただいていますが、そこに行政の課題の検討と判断根拠となる研究成果が必要というところに両方の矢印を結んでおられます。
実際の研究の現場からいうと、行政の方の問題意識をそのまま研究の方に、ただその問題を解くための解答の研究はやはりできないと思うんです。やはり研究の現場はサイエンスをやっているわけですから、それなりの学問としての領域の仕事をしている。その中からどこが行政のところで必要であるか。あるいは、そのデータはどういうふうに利用されるか。そこにワンテンポを置いた、いまご意見があったようなシステムがぜひ確立されるべきではないかと思います。
○木村部会長 ありがとうございます。学会でも基準づくりが増えてきたということで、工学系の学会で特にそういう方向が強くて、日本原子力学会も今までそれについてはあまりやっていなかったのが、このところ規格・基準をつくろうということで動いているわけですが、理学系の学会になると、ちょっと違うのではないかという気もするのですが、その辺は佐々木先生は放射線影響学会の会長をされたりしておりまして。でも、学会から見たときに、さっきは別に委員会をつくった方がいいとおっしゃっていましたが、やはり理学系の学会の場合には今の発言とも通じると思いますが、基準をつくったりするのはあまり向かないということになりますか。
○佐々木委員 これは従来、そういうふうな検討小委員会をつくろうという機運はございました。それで、一つは私は影響学会でございまして、だから低線量問題ですが、これは非常に意見が分かれるところなんです。というのは今までの概念ではとらえられない側面があるということで、だからいろいろな意見が出てくる。この前の放医研のときの安全研究センターのシンポジウムの最後に私は提案したのですが、やはり研究者の責任においてある程度現状を分析するというふうなことをとる必要があるのではないか。
だから、工学面での安全は開発にとっては切り離せない問題であることはよくわかります。ところが、影響研究となると開発の側から見ると邪魔になるという感じが非常に高いんです。現実にはそうではないと思いますが、そこまでも押さえたものでないと安全研究にならないということは、皆さんよくご存じだと思いますが、現在の科学でまだはっきりしないとなると、どちらかというと早くやってほしいとか、それはおかしいではないかとか、そういう議論がまだ出ている段階なわけです。やはりこういうものが問題になったときには、やはり学会とか学協会がある程度それに対する指針を現時点でまとめるということが非常に有意義なことではないかと思います。
○木村部会長 どうもありがとうございました。あえて申し上げましたのは、佐々木先生ご自身もJCOの事故の後、翌日には文部科学省に行って活動を開始されて、あの後もアクティブに、むしろ原子力学会なんかは、私なんかは反省していたぐらいで、ちょっと遅かったと思ったぐらいてきぱきとやられましたので、それで余計にそういう気がしたのと。
それから、いま日本学術会議でも、今までの学術会議ではあまり直接役に立つようなことは言わなかったのですが、社会的に役に立つ、あるいは世界的に問題になっていることとなりますと、例えば地雷の問題とか、あるいは中国に遺棄している化学兵器の後始末とか、そういうことを取り扱う委員会もつくりまして、私もちょっとお手伝いしています。
そこでは放射性物質が先ほどの喜多さんのお話の中にありましたような形での汚染とか、もちろん事故による汚染も含めてですが、そういうことに取り組んでくれという意見が出てまいりました。学術会議さえと言ったらしかられますが。そういうことで別に何かをつくってというよりも、本当に学会の方そのものが激しい議論をして、こうではないかというふうに出していただく方が、国民の側から見ても一番信頼されるというか、いいのではないかという気がしてご質問をした次第でございます。
ほかにもいろいろ意見が出ましたけれども、ロードマップというか、マップづくりについていくつか意見が出ております。これはもちろん研究の重複がない。場合によってはもちろん重複して競争するのもいいかもわかりませんが、無駄な重複はしないということやら、反対にやるべきことが抜けているということはないか。先ほど言われた中では今ヒューマンファクターとかリスクの扱いとか、やや心理がかったとか、少し人文科学に近いようなことも言われました。いずれにしましても何か抜け落ちがないかということも含めて、直接的には安全審査、安全基準ですぐ要るものはないか。欠けていないかというのもございます。実際に規制を担当されております行政庁では実際の運転管理をしていく上で、こういう研究がいるというのもございますし、非常に幅が広いわけです。これにつきまして、いろいろな意見が出ましたけれど、もう一度改めてご意見はございますか。
○高橋センター長 私はロードマップと聞いたとき、結局、どこに抜けがないか。どの方向に進んでいくかという必要性は感じますが、反対に何となく形式上、全部が整っているのを好む日本人の習性というものも感じざるを得ないんです。
実際の研究というのはAの研究とBの研究は独立して区分けしてやられるべきものではなくて、Aの研究の成果はBへ反映し、Bの方でさらにそれを大きくしてCへ持って行く。そういう有機的なつながりが本来あるべきだと思います。しかし、私どもがいま予算書をつくっておりますと、これは原研さんの仕事ではないですかとか、これは放医研のお仕事ですかとか、そういう切り分けがけっこう厳しく出ている。
だから、ロードマップというか、そういうふうなチャートをつくるときには、やはりそういうのがうまくオーバーラップして、全体としていい安全研究への成果が出るマップをつくっていただくということを考えていただきたい。ただ単に網羅的に全部の項目を挙げるだけのマップであれば、形式上はきれいかもしれないけれども、実際の安全研究の進展には大きな役に立たないだろうと僕は感じております。
○木村部会長 どうもありがとうございます。
○近藤次長 関連して一言だけ述べさせていただきますと、現在、ロードマップというのは世界中で流行語みたいに使われている面がございまして、うまくいっている例とうまくいっていない例をよく学ぶ必要があろうかと思います。
もう一つは、やはりロードマップというのはある研究なり開発の目標を定めたうえで、それに至る道筋の戦略を固めていくという仕事ですから、まず目標が定められていなければいけないということがあろうかと思います。現在、国の安全研究の組み立て方というのは、最終的には国の専門部会あるいは安全委員会で認められるということですが、基本的には実施者が主体的に提案したものの中から選ばれて決まっていくという形になっているわけです。そういう形ではなくて、むしろトップダウン的な面を入れて、例えば原子力安全委員会の方で検討されております安全目標ですとか、それをトップとした基準の体系化、そういったものを構築するという目標に向かって具体的にどう道筋を立てるかという観点でロードマップを検討するのが、安全研究の進め方としては一番よいのではないかという気がいたします。
○木村部会長 どうもありがとうございました。今は原子力安全委員会の方の安全研究でのロードマップは安全規制に対する、ザ・安全研究の方のロードマップ、差し当たりつくってみようかと動いているように聞いております。もちろん、それよりさらにさかのぼって、今言われたように本当に何が要るかという方からスタートして、今までの安全研究の柱を決めるとき、やられているはずですが、改めてやる。もう少し細かくもやるということでそちらはまいりますが、もう一方は高橋さんが言われたような研究の立場に立ってというのと少し違いますが。
しかも、各分科会の内容を見まして、原子力関係の施設と廃棄物のところが比較的整理しやすいなんて言うと悪いですが、どちらかというとターゲットを立てて、それに対する研究テーマを整備しやすいように思うんですが、環境放射能のところは非常に広くて、さっきのご紹介で申し上げましたし、佐々木先生からの報告でもございましたが、非常に広い、しかもすぐにというか、そんなにすぐにではなくても、割合早い時期に安全規制の基準、指針に反映するのではない研究もかなり入っています。正直、私も見せていただいてそういう気がしまして、そういうときにそれをどういうふうに整理するか。整理すると言ったら悪いですが、マップ的なものをつくるかというの大分違いまして、今言われているようなことがそこにも現れているような気がするのですが、しかし全体を通じてできるだけ役に立つというか、今後の安全研究を進めていくうえで役に立ち、また行政庁の方でやっておられます安全に関する研究との連携においても役に立つようになっていけばと私自身も思っております。
今、そちらでマップの話が出ましたが、行政庁の方で。
○本部課長 誤解していただきたくないなと思ったのは、何人かの先生からお話があったように、ロードマップというのははやり言葉でして、そういう意味ではまた英語を恐縮ですが、ア・ロードマップではだめなので、なぜセムアイコンダクターでロードマップが成功したか。特定のセムアイコンダクターを小さな領域にいきなり、どれだけ細かく書き込めるかを企業が競争、研究、役割分担をしながらつくるところにこの意味があったわけです。
例えば放射性廃棄物処分安全研究ロードマップというのは私は多分うまくいかないだろうと思っています。そういう意味で一つこの分野でやってみてもいいかなと思ったのは、高燃焼度燃料の領域なんです。これは何かというと、次の高燃焼度55(GWd/t)の次にどこに行くかだれも決めていない。企業によっては考え方が違うかもしれない。将来、今の55(GWd/t)で技術的に課題になっていることを解いておけば、どのあたりまで次に進めるだろうということも、多分研究者によって理由は違うかもしない。そういう分野を率直に議論していくことによってエリアの抜けがないことと、その道を進めばまあ間違いなく答えが見つかるだろうということを議論しておけば、学会的なことで議論していけば、我々が将来お金をどこかでつけることになったとき、国としてつける価値があるのかどうか議論できる。そういうようなものをもうちょっと狭い領域で議論してみて、そういう手法がうまくいくならもっと広めてもいいのではないかと思ったわけでございます。
まさに今おっしゃられたような広範な領域では放射性廃棄物、特に高レベルの長期間にわたるようなところの安全研究、それはみんなが知恵を出して、計画的なものでつくっていくという、いわば原子力長計的なものがまずあって、必要な資金を国全体がどう見るかという大きな流れがある。そういうものと競争と競合と市場性、適切な見直し、国が決めたものでないところで次が決まっていくようなところにはロードマップが当てはまる。そういうものも新しい試みとして安全研究を決めるときに競争的な資金の配り方とともにやってみてもいいのではないかなと思って、トライアル的にやってみようと思っているというのが現状でございます。
○木村部会長 どうもありがとうございました。喜多さんは何かございますか。
○喜多室長 さっきちょっと申し上げたのですが品質保証の関係で、私どもの抱えている試験研究炉というのは千差万別でございまして、画一的な規制はできないんです。それを今、実際やってしまっているところにいろいろ問題が出ているといいますか、事業者から不満が出ている。
やはり各施設に最も適した品質保証体制をきちんと考えていかなければいけない。これを考えていくと、どうしてもヒューマンファクターといいますか、人がどういうふうに業務の中で動くかという、そういう面での研究が必要になってくる。
こういうものがきちんと見えてくると最終的には、一つの例ですが、例えばこの施設で最も適した保安規程とはどういう規程が一番いいのか。あるいは、それに基づいた検査の仕方はどういうふうにしたらいいのか。その個別施設の特徴に合った一番最適な、一つの例ですが検査の仕方とか、あるいは事業者としては事業者なりのいろいろな安全管理の仕方があるわけです。どこを国が規制していけば一番効率的に安全が確保できていくのか。それはもちろん国が押さえるところ、あるいは事業者が守っていくところ、いろいろあると思うんです。そういう面で品質保証、それから巨大システムの中での人の関与、それをどうやって維持管理していくのかという面で何かもう少しヒューマンファクター的なということがさっき申し上げたことです。
○木村部会長 どうもありがとうございました。やはりターゲットを考えて、それに対してどうかというふうなマップづくりという意味ですね。わかりました。そういうふうな進め方。
それでも、ある程度広くやらざるを得ないのではないかと私自身思っているのですが、その場合でも何でもかんでもエンサイクロペディアをつくるわけではありませんから、その中でのいくつかの柱なりは当然出てくる。今の安全基準でもそうなっているわけでございますし、その関連でどうするか。あるいは抜けがないかということでやるべきではないかと思いますが、事業者の立場で新田さんはこのマップに関してはどういうふうにお考えですか。
○新田委員 ロードマップの事例は私どもがやっているというか、参加している、貢献している事例で例えばどんなのがあるかといいますと、アメリカが今、次の原子力開発に向けてゼネレーション4という新型炉の開発を。アメリカエネルギー省(DOE)というところがいろいろな機関と知恵を出し合って、これは2030年以降を目指したものですが。その中でどういう燃料、どういうタイプのシステムが今後導入していくための原子炉としていいか。そういう開発目標を皆さんの知恵を出して決める。それから、それに向かって行くのにどこが何をやっていくのがいいのだろうかということを次のステップでやっていく。目標を知恵を出し合って明確にするということと、もう一つはそこに向けてだれが何をするかということを決めよう。これがロードマップの非常に具体的な事例でございまして、先ほど来の安全研究に抜けがないかどうかというような目でこのロードマップをつくるのではなくて、むしろ安全規制はどういうカルチャーでやるかとか、あるいは安全確保をどういう品質保証体制でやるかというまずそれがあって、それに向けてだれが何をやるのかというロードマップという、こういう概念になってくるのではないかと私は理解しております。
もう1点だけ、時間が大分オーバーして。そういう意味で、私は最後の要望のところで言いましたが、やはりこの安全研究、成果をできるだけ活用した規制のあり方、効率的、効果的な規制のあり方はどういうカルチャーなのか。例えば、リスクという概念をもっともっと全面的に入れてきて、例えばリスクに基づく、最初に出ましたが検査のあり方とか、あるいはテストのあり方とか、これも一つの事例かと思いますが、そういうことがまずあって、それに向けてどういう研究をするか。どういうツールを開発しなければいけないか。そういうふうに展開されていくべきものではないかなと感じます。
○木村部会長 どうもありがとうございました。特にご発言がありますか。時間がやってきたのですが。
○佐々木委員 最後に。いろいろな領域からの要望がありましたが、私自身の考えとして、やはり国の安全委員会は規制に関してはきちっとしたスタンスを持つ必要がある。だから、それは運用面で各省庁が各協会とやられるのもよろしいのですが、それ以前に安全委員会はやはり国の安全の総元締めとして一つのスタンスを持つことが非常に重要です。そのためには今、年次計画を策定して、その研究は行われていて、それを土台にしてきちっと一つの案を持つことが非常に重要だと思います。運用に当たってはまた別だと思いますが。
○木村部会長 どうもありがとうございました。ほぼ時間になりましたが、フロアからと約束したので、お1人かお2人か、ぜひという方がありましたらご発言いただきたいと思います。申し訳ありません、遅くなってしまって。どうぞ。
○質問者2) やはり安全というと、人間が安全だということが最も大事です。それから、国民も人間として安全に納得するというプロシードはどうしても安全研究のときに必要だろう。
私自身が大学でも被ばく者あるいはチェルノブイリの人、あるいは放医研でもそうでしたし、いま放射線審議会に関係しておりますけれど、人との対応の中で感じるのは健康に対しての納得とか保証とか、そういう印象を与えるということが大事で、安全研究というとすぐに原子力利用のためのエクスキューズというふうな格好で反応してくるので、そういう意味の国民の納得を得るような方法も一つのプロジェクトとして真剣に考えていただきたいなというお願いだけでございます。
○木村部会長 どうもありがとうございました。たしかその後ろの方も手を挙げられた。
○質問者3) 燃料加工に携わっております新金属協会のサカニシと申します。
今日の安全研究のお話を聞いていて一つ感じたことは、規制との関係もありますが、日本の規制がとかく厳しいという、実際運用するというか、事業をしていくうえで海外では許されることが日本で許されないことが多々ある。それがどういう理由で、国際的なガイドとかそういうものができながら日本が厳しいときには、日本の固有の理由があればそれを明確にしていただきたいし、できるだけ海外で許されていることは日本でも許されるべきではないか。特別な理由がない限りですね。
それから、先ほどから研究でこれは国際的にもレベルが高いという、その反映は国内規制に限っていたのではないだろうか。もっとIAEAにその成果を認めさせて、IAEAのガイドを動かすぐらいの研究レベルを狙っていただきたい。それでこそ初めて。
IAEAのガイドが日本の成果の結果出てきて、その結果、また日本がそれを素直に取り入れる、そういう形に持っていきたい。もし、できなければ素直に海外の成果を取り入れる。これがギブアンドテイクではないかと考えています。その辺をお願いしたい。
○木村部会長 どうもありがとうございました。今の辺も心していきたいというか、放射線安全などではICRPを通じてそういうのがあるのではないかと思いますが。
○高橋センター長 放医研の方ではIAEA、それからICRP、それからUNSCEAR等に積極的に情報を発信して行って、そこで日本のデータをもんでいただいて、検討していただいて、そちらの方でまず生かしていただきたいということです。卑近な例ですが、放医研の場合ですと学会の論文の発表よりはICRPへ採用されることの方が評価は高いようにはしてございます。
○木村部会長 よろしいですか。予定の時間を少しオーバーしたので。ぜひと言う方がありましたら、せっかくのチャンスですから。
よろしゅうございますか。国際的なあれとしては原研の先ほど紹介があった反応度の実験なども国際的に使われているように承っておりますし、そうないことはございませんが、PRが悪いなんて言ったら悪いですが、もっときちっとした方がいいのかもわかりません。ほかの分野の方々にもわかるように。
それでは、私の不手際でフリーディスカッションといいながら、ディスカッションの時間が少なくなって申し訳ありませんでしたが、それぞれのご発言の中で非常に貴重なご意見もありました。またフロアからも数は少なかったですが、貴重なご意見を承りましたので、本日いただきましたご意見は今後の専門部会の検討に反映していきたいと思っております。
それでは事務局の方にお願いします。
○事務局 最後に委員長より総括の発言をお願いいたします。
○松浦委員長 先生方に背を向けて総括をやるというのも気になるのですが。
本日はまず最初に安全研究専門部会の各分科会の主査の方々から安全研究の成果についての簡単なご評価をいただきましたが、おおよそのところ、先の年次計画に基づいた安全研究は順調に進んだ。そしてまた現在も次のものが進みつつあるという、そういうご紹介をいただきました。
また、その後でのフリーディスカッションでは、非常に密度の高い重要な項目についてご議論をいただいたと認識しております。実は最後に総括をしろと言われていましたので、一生懸命にメモをとったのですが、だんだん途中でこれを総括するのはどうするんだと胃が痛くなり始めたところでございます。
先ほど佐々木先生からもお言葉をいただきましたが、安全委員会の職務といいますか、任務というのは改めて言うのもどうかと思いますが、原子力研究開発利用における安全確保の政策について企画し、審議し、決定するという役割があるけでございます。ここで安全確保がキーワードでありますが、これは所詮、原子力を利用することによって生ずる可能性のある放射線による障害をいかに合理的に極小化するかという、そこに安全確保のキーポイントがあるものだと認識しております。
それを実あらしめるために安全研究あるいはその他の研究の科学技術的な知識の総体があるわけですし、またその知識を用いて規制の体系が全体としてある。したがって、今日いろいろいただきましたご意見の中でのキーワードをいくつかとらえますと、その知識の体系、あるいは規制の体系の中でいかに総合化するか、総合性を持たせるか。体系化するか。また、研究で出てきた知識をいかにつなぎ合わせるか。研究それ自身の実施においても連携をとるか。そして、その研究を実施するプレーヤーとしての大学研究機関あるいは民間の間でどのようにお互いに連携するか。あるいは各々の研究の進め方を体系化するかということをご議論いただいたと思います。
そしてまた、今後の研究を進める進め方、あるいは目標を定めるためのロードマップづくりについてもいろいろとご議論をいただきました。私も願うことなら、このロードマップというのが単に日本の原子力研究開発利用というよりは、むしろ人類がこれから原子力を使っていく上での安全を確保する上でのロードマップづくりという、あるいはロードマップのでき上がりという、そういうものになっていけばと願う次第であります。
そしてまた、安全研究の成果を活用し、かつ効率的に研究を進めるわけでありますが、その研究を進める上での研究者に対するモチベーションといいますか、プロモートするためのリソースの確保をちゃんとやらなければならないということも再々言われたわけであります。
体系化とか、あるいは総合化という点におきましては、先ほどもお言葉がありましたが、原子力安全委員会としては今、安全目標の専門部会でどのように安全確保のための目標を設定するか。また、その目標のもとで規制の体系はどうあればいいか。そういうことをまた別の分科会で議論しております。
こういう議論を通じまして、今日いただきましたようないろいろな内容、あるいはキーワードが実現するように安全委員会としても今後とも努力したいと思います。
また、安全委員会としても特に安全研究を進めるうえでのプレーヤーとして重要な役割を今まで果たしてこられた日本原子力研究所あるいは核燃料サイクル機構が統合して大きな機関になられますと、これが今後の日本の安全研究の推進において非常に強力なプレーヤーになりますので、これがどういう形で統合されるかにおいて、非常に重大な関心を持っているところであるということを申し上げておきたいと思います。
本日は非常にご多忙のところ、たくさんおいでいただき、また最後まで熱心にこの講演及びフリーディスカッションをお聞きいただき、また非常に貴重なご意見もいただきまして、誠にありがとうございました。今後とも原子力安全委員会の活動に関しまして、叱咤激励、ご指導をいただきますようにお願いして、総括の言葉にかえせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)
午後 5時16分閉会