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「発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象における燃焼の進んだ燃料の取扱いについて」の概要
1. 背景
近年我が国及びフランスの研究機関で実施された反応度事故模擬実験では,燃焼の進んだ燃料に対する実験結果が数多く報告されており,また一方で,発電用軽水型原子炉においては,段階的に燃料の高燃焼度化が進められている。
このような状況に鑑み,原子力安全委員会原子炉安全基準部会では,今後の軽水炉の安全審査に資するため,我が国の研究成果のみならず諸外国の実験成果等を詳細に調べ,発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象における燃焼の進んだ燃料の取扱いについて検討を行い,その結果を報告書としてまとめた。
2. 検討結果
(1) 燃料の破損しきい値のめやすについて
安全評価に用いられるPCMI破損(ペレット/被覆管機械的相互作用を原因とする破損)のしきい値のめやすについては,ペレットの燃焼度に応じてピーク出力部燃料エンタルピの増分で以下のようにする。
なお,フランスカダラッシュ研究所CABRI炉で行われたREP Na−1実験において,高燃焼度燃料が低い発熱量で破損した事例が報告されているが,この実験について検討を加えた結果,被覆管の水素吸収量が極めて大きい等被覆管の状態が特異なものであること等から,PCMI破損しきい値を評価するためのデータから除外できると判断した。
(2) 事故時における燃料エンタルピの制限値について
燃焼の進んだ燃料のこの制限値は,高い燃焼度範囲における適切な安全余裕を維持する観点から,「発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象に関する評価指針」の判断基準(2)−1)に示された制限値(230cal/g・UO2)から,ペレット融点低下分相当のエンタルピを差し引いた値を越えないようにすることが妥当である。
(3) PCMI破損時の機械的エネルギの影響
事故時において浸水燃料の破裂に加えて,PCMI破損による衝撃圧力等の発生を重畳しても,原子炉停止能力及び原子炉容器の健全性を損なわないことについて検討した。その結果,これらの影響については,個別の安全審査においてそれらの評価を行うことが適切であるが,本書の添付において示した解析の条件と同様の条件を満足している場合は,その解析結果をもって十分な保守性を持った安全評価が得られたものとして差し支えないとした。
また,圧力サージ(PWRにおいてPCMI破損等に伴い放出された燃料と原子炉冷却材との接触により蒸気が発生した場合に,原子炉冷却材圧力バウンダリにかかる圧力が上昇すること)の影響は十分小さいことを確認した。
(4) 破損燃料堆積物の冷却性
事故時にPCMI破損及び浸水燃料の破裂によって燃料が冷却材中に放出された場合について,放出した燃料の全量が原子炉容器底部に堆積するものとしてその冷却性の検討を念のため行った。その結果,破損燃料堆積物の冷却性については十分な安全余裕があることを確認した。
(5) 核分裂生成物の放出割合の評価
反応度投入事象時に燃焼の進んだ燃料が破損した場合の被ばく評価においても,現行の安全評価で用いられている核分裂生成物の放出割合の仮定を用いることで保守的な評価となることを確認した。
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