第3節 放射性廃棄物処分に関する安全研究の実施
放射性廃棄物の処理処分に関する安全研究については,原子力安全委員会
の放射性廃棄物安全規制専門部会において,計画的・総合的推進方策を検討
して年次計画を策定するとともに,研究成果の評価検討が行われている。
1995年12月に策定された「放射性廃棄物安全研究年次計画(平成8年度〜平
成12年度)」(図2-74参照)では,今後実施すべき安全研究課題について,
安全確保の観点から浅地中処分,地層処分,規制除外・規制免除及び再利用
の3分野に分けて,その目的,研究内容,実施機関がとりまとめられてお
り,現在,この計画に基づいて各研究機関で研究が実施されている*1。
図2-74 放射性廃棄物安全研究年次計画に基づく安全研究課題
浅地中処分に係る安全研究の分野では,日本原子力研究所等において,発
電所廃棄物に関する研究として,放射性廃棄物処理処分に係る放射性核種の
分析法に関する調査研究等,RI・研究所等廃棄物に関する研究として,R
I廃棄物及び研究所等廃棄物の処分に関する研究等,アルファ廃棄物のよう
な長半減期核種が主要核種である廃棄物に関する研究として,アルファ廃棄
物浅地中処分の安全評価の基本的考え方に関する研究等が実施されている。
地層処分に係る安全研究の分野では,動力炉・核燃料開発事業団,日本原
子力研究所等において,安全確保の方針,基本的考え方策定のための研究と
して,安全に関する基本的考え方と安全評価の考え方等に関する研究等,予
定地選定に当たって必要な技術要件の策定に資する研究として,地質環境の
長期安定に関する研究等,指針,基準等の策定,具体的な安全評価のための
研究として人工バリア要素の安全性に関する研究等が実施されている。
規制除外・規制免除及び再利用に係る安全研究の分野では,日本原子力研
究所において,規制免除・再利用の安全評価システムの整備が実施されてい
る。
*1放射性廃棄物の処分に係る安全研究は,低レベル放射性廃棄物については,1984
年度以来,「低レベル放射性廃棄物安全研究年次計画」に基づき,また,高レベル放
射性廃棄物については,1986年度以来,「高レベル放射性廃棄物等安全研究年次計
画」に基づき,推進されてきた。しかしながら,両計画で共通的事項があること等を
踏まえ,1995年度の高レベル放射性廃棄物等安全研究年次計画(平成3年度〜7年
度)の見直しに際して,低レベル放射性廃棄物安全研究年次計画(平成6年度〜10
年度)についても見直し,これらを新たに放射性廃棄物安全研究年次計画(平成8
年度〜12年度)として一本化を行った。
また,放射性廃棄物安全規制専門部会では,1991年度から1995年度におい
て高レベル放射性等廃棄物安全研究年次計画に基づき実施された安全研究及
び1994及び1995年度において低レベル放射性廃棄物安全研究年次計画に基づ
き実施された安全研究について,関係研究機関等にその成果の報告を求める
とともに,研究者からのヒアリングを実施し,その成果の取りまとめを行
い,1997年8月に原子力安全委員会に報告した。

図2-75 放射性廃棄物安全研究の例
写真は化学平衡反応試験設備。ここでは,人工バリアの長期耐久性モデルを
確立するため,処分環境雰囲気,地下水の流れ,共存物質(キャニスター,
オーバーパック,緩衝材)等処分環境を考慮した条件でガラス固化体の浸出試
験及びオーバーパックの腐食試験を実施している。
| 人工バリア: | 高レベル放射性廃棄物を閉じこめるための人工の障壁。緩衝材,オーバーパック,ガラス固化体によって構成される |
| オーバーパック: | ガラス固化体を包蔵する容器 |