第3章 環境放射能調査
環境放射能調査は,環境に存在する自然放射線(能)レベルと,人間の活動により付加される放射線(能)レベルの調査を行うことにより,国民の被ばく線量の推定・評価に資することを目的としている。現在,自然放射線以外に放射線(能)レベルに影響を与え得る放射線源として,原子力の平和利用に伴う原子力発電所,再処理施設などの原子力施設のほか,諸外国の核爆発実験に伴う放射性降下物,原子力軍艦などがある。
これらに係る放射能調査については,科学技術庁を中心として関係省庁で行われているほか,原子力施設周辺においては,関係道府県が放射能調査を実施している。また,核爆発実験に件う放射性降下物及び原子力軍艦寄港地周辺の調査は,国の委託事業として各都道府県等でも行われている。
これらの調査で得られたデータにより総合的な環境中の放射線(能)レベルの監視と把握が行われているほか,これに必要な調査研究も進められている。
また.原子力安全委員会においては,原子力施設周辺の地域で実施される環境放射線モニタリング及び全国的な放射能水準の調査に関する計画と結果の総合的評価に係る事項について調査審議するため,環境放射線モニタリング中央評価専門部会を設置し,所要の審議を行っている。
我々が生活している環境には,絶えず地球上に降り注いでいる宇宙線や天然に存在する放射性物質からの放射線などの自然放射線がある。環境放射線による被ばくのうち大部分は自然放射線によるものであり,地質の違い等による地域差も含め,このレベルを把握することは国民の被ばく線量を推定,評価する上で重要である。
我が国の自然放射線に関する調査としては,1967年度から1977年度にかけて,放射線医学総合研究所が第1次現地測定を実施して以来,現在も内容の充実を図りつつ継続されている。
また,1982年国連原子放射線の影響に関する科学委員会(UNSCEAR)の報告書でラドン及びその娘核種*によるリスクが高いとの報告がなされ,我が国でも1983年度より放射線医学総合研究所において測定手法の開発等を進めるとともに,1992年度より放射線医学総合研究所,都道府県,(財)日本分析センターにおいて,全国的なラドン濃度調査を実施している。
| * 放射性崩壊において,放射性核種Aが崩壊して核種Bに変化する時,BをAの娘核種と言う。 |
1990年7月に,岡山県の酸化チタン工場から搬出された廃棄物から通常より高いレベルの放射線が検出され,社会的な問題になったことに関しては,チタン鉱石を取扱う工場や,処分場において詳細な調査を行い,安全評価を実施した結果,1991年6月に関係省庁で「チタン鉱石問題に対する対応方針」が取りまとめられ,関係地方公共団体及び企業は,この方針に基づき必要な対応を採っているところである。